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只今、神田飛鳥の人生で最大のピンチです
誰か助けてくださーーーい!!!



遡ること一週間前のこと…


それはもう輝かしい学生ライフが始まるであろうそんなときに


インフルエンザにかかるとかね!!!


初めての1人暮らしにワクワクすっぞ!!
とか、思ってる場合じゃなかった…
入学式にも出られず、1人悲しく病気と戦い…やっと行けるとウキウキして学校に来たら、周りはすでにグループだらけでした


完全に出遅れたぁぁぁぁぁぁぁ!!!


はい、只今ぼっちです!
後から入っていくのとか大変そうで、考えるだけで頭が痛い…

ただでさえ心が折れそうなのに、大事な授業の教科書を忘れていたことに、授業が始まってから気付いた…
自分もう消えてしまえばいいんじゃないだろうか…


今日のこの流れでは確実に当てられる…!
登校初日から
「教科書忘れたので問題がわかりません!」
なんて、バカのレッテルがクラス…いや、下手をすれば学年中に広まるかもしれない…
いや、バカなのは確かなんだけど…ははは


でも、第一印象がバカは嫌!!
うん、とにかく、この授業をどう切り抜けるか考えなきゃだよね…
私の席は一番後ろの窓側の角!!!
つまり、私の右隣の人に見せてもらうしかないわけだけど…


その肝心なお隣さんは男子
男子はちょっと緊張する…
名前は…なんて人だろう?
自己紹介とか初日にやったんだろうけど、私いなかったからなぁ


もう問題は解き終わったのか、それはそれはもう大変めんどくさそーな顔で授業を聞いてる…そもそも聞いてるのだろうか?
髪は伸ばしているようで、後ろに1つに結んで纏めている
それにしても、すごい猫背だなー…
あ、欠伸してる


って、お隣さん観察をしている場合じゃない
声をかけなければと思った瞬間に、お隣さんが私の方を見たので目があってしまった!


ヤバイ、見すぎてたかな!?
気まずい、非常に気まずい!
だけど、今がチャンス!
と、慌てて私はお隣さんへ話しかけた


「あ、あの教科書を見せてくれみゃせんか!?」


噛んだ、消えたい
お隣さんもビックリした顔してるよ…


「…おまえ、教科書忘れたんですかぁ?」


羞恥心で固まってしまっている私に、お隣さんが聞き返してきたので、私は「はい」っと答える


「登校してきたかと思えばぁ初っぱなから教科書忘れるとかバカですかぁ?バカなんですかぁ?ねぇ?」


わかってる、そう思われてもしょうがないのはわかってる
クラス全員に思われるよりはマシ…だけど…
でも、初対面からそんなに言わなくてもいいじゃない
しかも、一息でペラペラと
よく口が回りますね私と違って、ちくしょう


さらなる心のダメージを受けた私が机に突っ伏していると横から何かをずぃっと突きつけられた
っは、っと横を見ると、お隣さんが無言で教科書を出していた


「見るんですかぁ?見ないんですかぁ?早くしてくださいよぉ」

「みみみ見ます!!」


ありがとうと慌てて教科書を受けとる
急いで開き問題にとりかかり、なんとか解き終わった
その直後に先生に当てられて、私の心臓がはねあがる
ドキドキしながら答えを言うと、どうやら正解だったようだ
あ、あっぶなかった…
目の前のピンチはお隣さんという救世主に救われた


「あの、教科書スッゴク助かりました!ありがとうございました!」


取り敢えず、今日はもう当てられることはないだろうと、お隣さんにお礼を言って教科書を返した
話しかけた時にまたビックリした顔をされたけど


最初にやらかしたおかげか、2回目はすんなりと話しかけれたと思ったんだけどなぁー何か変だったかな?


「もう、いいんですかぁ?」


と聞き返してきたので、多分大丈夫だと言っておいた


お隣さんが「ふ〜ん…」っと呟いたあと


「…今回は特別にぃ、貸してあげましたがぁ、迷惑なので次からは忘れないでくださいねぇ?」


と、言われてしまった
うわーーん、すみませんんんん


でも、何だかんだで貸してくれるあたり
いい人なのかな…辛辣だけど…




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