「Hey 氏時!!Trick or Treat!!」

「あぁん?」




とても発音よく言って現れたのはクラスメイト。ちなみに最近よく席が隣になる。
そいでもって俺の好いたヤツ。まあ気持ちを伝える気なんざさらさら無いが。
トリックオアトリートなんて好いた女子にでもやってやれよなんて思いながら眠い目を擦りながら机に伏していた体を起こす。
内心舞い上がっている俺をどうにかして抑え込むとじとりと政宗を睨んだ。


「Ha!持ってねぇんだろ、知ってるぜ」

「いや待てなんで持ってないの知ってるんだ」

「あ、ほんとに持ってねぇんだな」


こいつ、カマかけやがった……
1発ぐらい殴っても怒られねーよな、うん大丈夫。具体的に何がって訳じゃないけどこれはきっと多分おそらく絶対大丈夫。ついでにおまけもくれてやらァ。おまけ?あぁ1発ヤらせろはないから安心してくれ。一瞬考えたが。


「んじゃイタズラだな」


全くもって次の行動が毎回読めないから今回も何をしでかすか分からず思わず身構える。


「まぁ待てや、イタズラってぇのは何するんだ?場合によっちゃ俺は全力でやるし全力で逃げる」


よし、言ったぞ、これで何されてもバッチコイだぜ。


「Look forward to it!」


な、なんだと!?ちくしょーマジで何するつもりだ……
仕方がない。とりあえず腹は括ったことだし殴られても蹴られてもいいように、そして仕返しを忘れぬ様に準備運動をする。おーけーおーけードンと来い、何でも来い。


「よっしゃ何でも来い。但しやることによっちゃ10倍返しもあるから覚悟しとけ」

「Ah...氏時、そこまでしなくても」

「いーやするね、オラ来い!どんと1発かましてこい!」


半ばヤケになりつつ構えをとる。



「Oh…まあいいか…氏時、目を瞑れ」

「おうよ!」

「構えは無くていい」

「お、おう?」


なんだなんだ?戦闘不能にするつもりか?まあしょうがない、ここは言う通り、に……




「おい」

「な、なんだ」

「政宗お前罰ゲームかなんかしてるのか」

「し、してねぇ」



触れたのは一瞬。だが確かにこの俺の唇に何かが触れた。瞑っていた目をゆるりと開くと目の前には真っ赤になって目を泳がせる政宗。俺の目が完全に開ききると同時に逃げ出そうとしたがその腕を掴んだ。



「っ離せ!」

「10倍返しを望むか」

「…は?」



理性でなんとか抑え込めていたものがプツンとはじけてじわじわと漏れでる。

掴んだ腕をこちらに引き寄せながら後ろにある自分の椅子に座り込み政宗も膝に座らせた。

「W , wait!てめ」

「20倍返しの方がいいか」

「な、何言って……っ…!?」


言い切らないうちにそれまで騒いでいた口を塞ぐ。すぐに酸素が切れたのか、掴んでない方の手が俺の肩をてしてし叩いた。そんなことはお構い無しに角度を変えて舌を絡める。細く目を開けてみれば先程よりさらに赤くなった政宗が蕩けた表情で必死に俺の舌に応えていた。



「これで5倍くらいか」

「も、十分、だ…!」

「まだ物欲しそうな顔してやがるくせに」

「……っ!」


そう言いながら頬を一撫でする。輪郭に沿って指を滑らせれば政宗の甘い声。そのまま形のいい唇に持っていきふにふにと弄ってやるとかぷりと指に噛み付いた。たまらなくなりそのまま口を開けさせると再び口付け。箍が外れ政宗の唇を貪る。


「…っ…!氏時っ…ん…!」



合間に漏れる声が何とも唆る。そろそろマジで我慢ができなくなる。忘れかけていたがまだほかの生徒が部活をしている真っ最中の教室、グラウンドからもよく見える窓際の席だ。



「政宗…」

「っはぁ…はぁ……氏時……」


息を切らして俺にもたれ掛かっている耳元で囁けばビクリとなる政宗の反応が楽しく、先程までの焦りもどこぞへ吹っ飛ぶ。髪を耳にかけて舌を這わせばまたピクリとはねる。さらに中に入れこめば俺の首元に回っている手に力が入る。時折名前を囁きながらわざとらしく水音を大きく響かせていると、政宗の腰が揺れ始めた。




「ま、今日はこんなものか」

「…えっ……、氏時……?」


背中へ手を回しポンポンと叩いてやると、肩に手をついて体を起こす政宗。その顔には困惑と熱を持った色が滲み出ている。うーん。ヤりたいのは山々なんだけど……唆る顔するなぁもう。



「なに、どうした?」

「っ、……い、いや……」

「言ってくれなきゃ分かんねーよ」


そう言いながら政宗を自分の膝から下ろして立ち上がり帰る準備を始める。横目でちらりと様子を見れば真っ赤な顔であっちを見たりこっちを見たりとそわそわしている。ちょっといじめすぎたかと思い声をかけようと振り向こうとした瞬間。


ぐいっ



「ん?」

「俺も、連れてけ」

「はい?」


おっとー、そう来たかぁ!いや!嬉しいよ!凄く嬉しいよ!!氏時もうちょっと頑張るよ!!


「だから、…その、お前、家1人だろ…?」

「お、おぉ」

「中途半端は、……いやだ…」


よしお持ち帰り。
無言で政宗を俵担ぎする。すると流石に驚いたようで俺の背中をバンバン叩く。降ろせだの何するだの騒ぐのをすべて無視。政宗の荷物を持つとそのまま家に足を向けた。

美味しくいただきます。




何倍返しをお望みで?





筆頭はこの後おいしく氏時に頂かれましたとさ、めでたしめでたし笑
次の日はおそらく筆頭の腰が立たなくて欠席なんじゃないかなー
初学バサでした!