花街 | ナノ

　薄暗い裏通りを曲がった先に、赤い光が揺れていた。
　浮世茶屋『野ばら』の提灯である。

「いらっしゃいませー！」

　元気な声が飛び交う店内は、まるで大衆居酒屋だ。案内されたカップルシートの個室も完全には遮られておらず、ここでエッチなサービスが受けられるとは思えないほど開放的だった。