禍ノ子
 専属医 / 大和


「えっ……、今……なんて」
「佐々倉が好きだ」
「だっ、だって俺、男だよ」
「そんなの分かってる」

 じりじりしながら、緋色をベッドに組み敷く。両手を絡めて返事を求めても、戸惑って一向に視線を合わせてくれない。
 フラストレーションをぶつけるように、細い首筋へ齧り付けば、鬱血した所有印が浮き上がる。けれど満たされるのは視覚的な独占欲だけだ。

「俺のになって、佐々倉」

 そうしたら、ずっと守ってやる。
 夜に眠れないなんて言わせないし、寂しい思いもさせない。
 だから、どうしても認めてほしい。
 逃げる顔を捕まえて、否定される前に唇を塞ぐ。

「んっ……ちゅ……、まっ、待っえ……ど、したら……いいか、わかんな……っ、もっと、ゆっくり……うっ、ぐす」
「な、泣くな」
「ひっく、う……あぅ……くろだ」

 泣き出す緋色に追い討ちをかけられて、下半身が膨張し始める。好きな子との密着で極限の我慢を強いられ、今にも暴発しそうだ。

「はっ……ハッ……、佐々倉」

 くったりしている緋色をベッドに押さえたまま、片手で自分のベルトを外す。焦って手が滑りつつも、ずらした下着から男性器を開放すれば、ばちっと太く張った刀身が現れた。
 見せつけんばかりに跳ね上がる生殖器に、驚いた緋色の視線が絡む。

「く、黒田……それ、」
「……っ佐々倉のせいだ」
「あっ、だめっ、くろだ……やめてっ」

 抵抗する緋色の下着も脱がせ、力の入った両膝を無理に左右へ広げた。空を噛んで喘いだ緋色は、きゅっと爪先を丸めて硬直する。

「み、見ないで……っ」

 緋色の控えめな雄茎は、既に勃ち上がっていた。
 さらに、まだ半分皮を被った薄赤い割れ目から、透明な汁がたらたら垂れ落ちている。まだキスしかしていないのに、粘液は尻の窄まりまで広がって、いやらしく光っていた。

「すごい、糸引いてる」
「だっ、だって、っ……ん」

 ゆっくりと責めるように、シャツの裾をたくしあげていく。
 まっさらな早朝の光に照らされた緋色の肉体は、初心いピンクに火照っていた。特別赤い乳首が、つんと摘まれるのを待っている。
 また暴走して「こわい」と言われないように、大和は震えながら深呼吸した。


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