罪ノ子
 蝶々結び / 駆蹴


 最初の方は、見るだけでも鼻血を出して恥ずかしがっていたのに、この変貌といったらない。
 勝手にジッパーを下ろして盛り上がったボクサーパンツに鼻先を擦り付けると、恍惚とした表情を浮かべている。まるで精神安定剤だ。

「はあ……」

 うっとりしながら下着の匂いを嗅ぎ、そのままずらして露出させた陰毛の茂みに顔を押し付けると、何とも幸せそうな溜息を漏らす。

「ああん、すごい……すごい」
「伊織、ちょっと落ち着け」
「あ、ぅ……、駆蹴さん、ずっとお風呂入らないで」
「冗談言うな」
「んっ、ふぅ、じゃあ、おちんちんだけ洗わないで? ね、ね、いいでしょ?」
「だめに決まってるだろう」
「だって毎日伊織が綺麗にしてあげる……あーん……」

 怖いほどの執着に腰が引けた駆蹴に構わず、伊織はまるでドルチェか何かのように駆蹴の性器を頬張った。割れた鈴口の位置を確かめるように、ちろちろと舌先を這わされ、思わず下腹部に力を込める。

「んっく……ちゅ、じゅるるっ……くちゅ、ちゅっ、ちゅゥ」
「……っう、く」

 綺麗にしてあげる、の宣言通りに伊織の舌先は執拗に鈴口の割れ目を這い回った。そこの塩気がなくなるまで舐め終えると、今度は雁首の裏側へ剥けた皮の隙間に舌先を入れ始める。今日はいつもより時間をかけているので、どうやら何か付着していたようだ。

「……っ伊織、そんなにしなくていい」
「んんっ……らめ、じっとして!」

 伊織的には溜まった恥垢を綺麗にしたいらしいが、一緒にいる日はほとんど毎日してくれるので滅多にそういった類の汚れは溜まらない。
 最近、裏筋の繋ぎ目が肥大化しているのも伊織がほとんど毎日しゃぶるからに違いないし、どこで覚えたと問い詰めたくなるほど、そのテクニックは玄人じみている。
 左右の陰嚢の質量を確かめようと片方ずつ頬張る伊織の表情は、なんだか楽しそうにすら見えた。

「ん……っふ、いつもより重たくて張ってるから、いっぱい伊織が出してあげるね」

 駆蹴の内股を流れ落ちる唾液の量が、伊織の口淫の激しさを物語っている。正直このまま射精してしまいそうだ。
 駆蹴の下生えに顔を埋めた伊織は、ゆっくりと喉奥まで陰茎を迎え入れると、溢れた先走りを口内に溜めながらぐちゅぐちゅと抽送を始めた。開き切った喉奥の壁に亀頭を押し当て、さらに奥の食道まで捩じ込むイラマチオ。苦しいはずなのに、伊織は根元まで美味しそうに飲み込んでいる。
 
「んっ、はあ……ちゅっ、ぢゅうぅ」
「……っは、伊織」
「っん、んーっ、ちゅぅ」
「はぁ、はっ……っ、く……!」

 びくんと腹筋が収縮する。耐えきれずに、伊織の口腔へ激しく射精してしまった。

「ん、んーっ! んく、んっ……ふ、ちゅっ、ちゅ、ぢゅうっ」
「うっ……あぁ、」

 伊織は苦しげに喉を上下させつつ、びくっびくっと開く尿管の脈動に合わせて精液を吸い上げている。
 それがあまりに気持ちよくて低く喘ぐと、伊織は陰茎を手で扱きながら上目遣いで見上げてきた。

「伊織、よくできた?」
「……怖いくらいにな」
「あっ、まだ垂れちゃう」
「待っ、こら……っは、」

 射精が止まらない鈴口に柔らかな唇を押し付けた伊織は、尿道に残った残滓まで吸いあげると、さらに陰茎に纏わりつく白濁や陰嚢の裏側まで綺麗にしてから満足そうに微笑んだ。


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