儡ノ子
 輪廻 / 芽太


 穂高芽太ほだかめいたは一人、冷たいダブルベッドの上で目を覚ました。
 寝室には芽太の他に誰もいない。
 いつの間に眠ってしまったのだろう。いや、眠ったというよりは、気を失ったのかもしれない。
 ぼんやり体を起こすと、カシャン、と何か金属が床に落ちる音がした。銀色の尿道ブジーだ。さっと血の気が引いて視線を逸らす。

 奏一そういちは、早朝から訓練があると言っていたので、芽太が眠る間に準備して出かけたのだろう。同じ夜を過ごしているのにこうも違うなんて、やはり彼は軍人だ。

「好きだ」と何度も繰り返す声が、まだ鼓膜に張り付いている。その声が切ないのに、どこか狂気をはらんでいて。消えたはずの熱が下腹の奥で燻った気がした芽太は、とにかくシャワーを浴びようと、冷たい床に足をついた。

「あっ……」

 赤く腫れた蕾から、生ぬるい精液が脚を伝い落ちた。



 芽太がケージに移り住んだのは、ちょうど去年のクリスマスだった。義父と兄の聖夜、それから遊撃班の月輝まで承諾していたのに、知らなかったのは芽太一人だけだった。
 部屋を案内された時の気持ちは、今でもうまく言い表せない。一つしかない寝室に置かれたダブルベッドを見て、鳥肌が立った。
 戸惑う芽太に奏一が気がつかないはずはないのに、その夜からほとんど毎日抱かれている。朝も夜も関係なく、特に実践訓練をした日はアドレナリンが出ているのか、芽太がついていけないほど激しくされた。
 腰にできた奏一の指の痕はずっと消えない。後背位の時に、芽太が逃げないよう痛いほど掴まれるからだ。

 シャワーを終えた芽太は、鏡に映った自分の裸体を直視できずに俯いた。


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