「最悪だ…」
「もし俺たちが死んだら骨は拾ってくれ…」

沈痛な面持ちで言う兵助と勘右衛門になんて声をかけてやればいいか分からなくて、とりあえず黙って頷く。
何でこの二人がこんなに悲壮感を漂わせてるのかってーと、あの歩く破壊兵器と呼ばれた名字名前先輩が何故か忍術学園の教師になり、二人の在籍する五年い組で研修をする事になったからだ。
二人には悪いけど、正直ろ組じゃなくて良かったと思ってしまう。
だってあの歩く破壊兵器が通ったあとはペンペン草も残らないと言われるほどの存在だったのだ。
俺だって命は惜しい。
普段は飄々とした態度の三郎ですら、名字先輩の事は恐ろしいと言うぐらいだし。

「しかし何でまた教師になろうなどと思ったのだろうな。私には名字先輩が教師に向いているとは到底思えないが」
「ああ確かになー。つーか名字先輩ってどっかのデカい城に就職したんだったよな?何で辞めたんだろ?」

三郎のセリフに同意して、ふと思い出した事を言ってみると雷蔵もそうだよねと頷いて同意する。
い組の二人はそんな事はどうだっていいのか黙り込んだままだ。
一歩間違えれば俺もああなっていたのかと思うとぞっとする。

「何か問題でも起こしたのか?しかしあの名字先輩がそんなミスをするとは思えないな」
「うーん、そうだねえ。城を辞める理由かあ…」
「怪我してとかなら実技の教師にはなれないよな。って事は別の何かか…性格悪過ぎて同僚と上手く行かなかったんじゃねえ?」

ありえなくもなさそうな事を思いついて言えば、黙っていた二人も含める全員がそれだ!と同意してきて笑ってしまった。
自分で言っといてなんだけど、お前らひどくねえ?
まあ名字先輩の性格が悪いのが悪いよな。
全員でそう爆笑していると急に今まで感じてなかった気配を感じて五人全員でぴたりと黙り込む。
こ、この気配は…。

「楽しそうだなァ、お前ら…」
「ひっ!?」
「名字先輩…!」

歩く破壊兵器が、そこにいた。

「おいおいどうした?一瞬前までゲラゲラ笑ってたじゃねえか。笑えよ、面白いんだろ?」

俺の悪口が。
そう言って笑った名字先輩の顔を俺は一生忘れない。

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