「名前、最近やけに帰りが遅いな」

空が薄暗くなってからようやく帰ってきた名前お姉ちゃんを腕組みして仁王立ちで迎えれば、お姉ちゃんはただいまなんてのんきに言う。
そんなお姉ちゃんの態度にむっとしながらもう一度遅い!と怒ると困ったように笑われた。

「あれ、勘右衛門から聞いてない?私、生徒会に入ったから忙しいんだ」
「生徒会!?聞いてない!」
「そうなの?勘右衛門ったら言い忘れちゃったのかなあ」

首を傾げて言うお姉ちゃんはかわいいが、自分の知らないお姉ちゃん情報があった事にぎりぎりと歯をかみしめる。
勘右衛門め、お姉ちゃん情報を流し忘れるとは…それに生徒会に入っただなんて超重要情報じゃないか!
今までは部活はしていなかったからバイトのない日は真っ直ぐ帰ってきていたし、会えない日はほとんどなかった。
だけど生徒会なんて入ったら会えない日が増えてしまう。
それにもしかしたら生徒会で知り合った男と付き合う事になるなんて可能性も…!

「だっ、ダメだダメだ!生徒会なんて絶対にダメだ!」
「え?何で?」
「帰りが遅くなったら危ないだろ!」
「まあ確かにそれはそうだね」
「そうだろう!だから生徒会は辞めるべきだ!」
「でも今更辞めれないし、潮江先輩が近所だからなるべく一緒に帰ってくるよ」

誰だよ潮江!
男か!?男なのか!?
だとしたら完全に墓穴を掘ったじゃないか!

「お、男は…男は狼なんだぞ!?」
「潮江先輩はどっちかと言えば熊って感じだけど」
「何にせよ危険なのは変わりない!」

必死に訴えるがお姉ちゃんは気にせずあははと笑った。
よっぽど潮江とかいう奴を信頼しているらしい。
これは不味い。
間違いなくお姉ちゃんはこれから生徒会の度に潮江と帰ってくるだろう。
も、もしかしたらそこから恋が始まったり…!?
…うわああああ!そんなのはダメだ!
お姉ちゃんを潮江なんて奴に渡してなるものか!

「…そ、そうだ!生徒会の活動日は決まってるのか?」
「今はちょっと引き継ぎとかで忙しいからしばらくほとんど毎日だけど、行事がない時は月に二回だよ」
「思ったより少ないな…よし、それなら生徒会が終わったら連絡をくれ。迎えに行く」
「え?三郎くんが出歩く方が危ないと思うけど」
「潮江と帰ってくる方が危険に決まってる!」

必死の訴えにお姉ちゃんは仕方ないなあ、なんて顔をして迎えを了承してくれた。
ただし一人では来ない事を条件に出されたけど。
…お姉ちゃんの安全を守る為だ、勘右衛門に賄賂を贈るしかない。
あいつならきっと親友の為にチュッパチャップス一本で引き受けてくれるだろう。

「お姉ちゃんのピンチは絶対に守る!」
「あ、久しぶりにお姉ちゃんって読んでくれたね」
「!!!」

と、とにかく潮江になんて絶対負けないんだからなー!!!

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