私と昆奈門さんの関係は何かと聞かれたら茶飲み友だちだと思う。
だって私の部屋に遊びにきてくれる昆奈門さんはお茶を飲んで手土産のお茶菓子を食べてお喋りをして、他に何をするでもなく帰っていく。
こんな関係は茶飲み友だち以外に表現が見つからない。

だから伏木蔵くんに昆奈門さんと付き合ったりしないんですか?なんて聞かれた時、ちょっとびっくりしてしまった。

「でも昆奈門さんと年も離れてるし、そもそも私透明だしありえないですよねえ」
「…鈍感さって時に残酷だよね」
「はい?鈍感って私ですか?」
「他に誰がいるの…」

ふう、とため息をついた昆奈門さんがまあいいけど、と笑って腕を組む。
それからままならないから面白いなんて呟いてごろんと寝転がった。

「名前ちゃん、膝枕してよ」
「できたらやってあげますけど、私スケスケなのでできないです」
「スケスケ…良い響きだ」
「………」
「そんなに冷たい目で見るとお土産のお菓子あげないよ」
「わあー昆奈門さんかっこいいなー!」

棒読みでそう言ったら昆奈門さんはでしょ?なんて満足そうにうなずいた。
それから私の膝の辺りにずりずり這ってきて丸めた座布団を私のひざの高さに合わせたあと私のひざへ飛び込んでくる。

「…何やってるんですか?」
「膝枕の気分を味わおうと思って」
「………」
「………」
「楽しいですか?」
「それなりに」

よく分からないけど本人がそう言うならそう…なのかな。
ちょっと悩みつつまあいいかなんて納得してなんとなく昆奈門さんの頭の辺りを撫でてみる。
もちろん触ってる感じはしない。
だけど昆奈門さんが嬉しそうな雰囲気だからたぶん良かったんだと思う。

「こうしてるとなんだか家で飼ってる犬を思い出します」
「…できればもっと別の発想をお願いしたいところだね」
「別ですか?あ、猫も飼ってますよ」
「そこじゃないんだけど…まあいいか」

投げやりな感じでそう言って目を閉じた昆奈門さんがふうと息を吐く。

「…君に飼われてしまうのもいいかもしれないねえ」
「えーそんなの嫌ですよ」
「そんなきっぱり否定しなくてもいいじゃない。おじさん傷付きました」
「いやだってほら、昆奈門さんがもし犬とか猫だったら会話できないじゃないですか。それは寂しいですし」
「…君ね、もう少し私の気持ちを慮って発言してくれない?」

私はまたしても昆奈門さん的に納得のいかない発言をしてしまったらしい。
うーん、何が悪いんだろう。
首を傾げれば昆奈門さんは深いため息をついた。

「まあ名前ちゃんのそういうところが面白くて気に入ってるんだけどね」

ほめられてる気はしないけど、結局昆奈門さんが満足そうに目を閉じたからまあいいかと流すことに決めてお土産のお菓子をひとくち食べるのだった。


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -