「よーし、ほいじゃ行くよー!」
「おうっ来い!」
「長次!トス!」
「…トス」
「食らえ小平太っ!ウルトラスーパーミラクルジャイアントエレクトリカルアターック!」
「ははは!何の!」

私の渾身のアタックを上手くレシーブした小平太がにやりと笑って綺麗に長次のところへボールを送る。

「長次!トスだ!」
「…トス」
「行くぞ!いけどんアターック!」
「負けるか!」

長次が上げたボールを勢いよく打ちつけて笑う小平太に、私も笑みを返してレシーブをしてやる。
もちろん上がったボールは長次のところへ。
そして返ってくるトス。
打ちつけるアタック。
レシーブ、トス、アタック…。
延々とそれを続け、五十は往復したころ。

「もうそろそろ終わりだ」

もそっと長次が言って、私が返したボールを抱え込んだ。
当然、えー!と私と小平太は声を上げるけど、長次はふるふると首を振って覆そうとしない。
ちっくしょ、飽きたな、長次め!

「仕方ない、休憩するかー」
「そうだな。もうちょっと体を動かしたいけど長次が言うんじゃ仕方ない」
「…適度な休憩は、大事」

そう言ってボールを抱えたまま長次は木陰へ移動する。
私たちもそれにならって木陰へついていく。
うーん、風も吹いてるし涼しくて気持ちいいなあ。
運動して汗をかいたから余計にいいや。

「昼寝したくなっちゃうねえ」
「私もそう思ってた。せっかくだから今日は昼寝大会をするか!」
「それもいい」
「よし、長次が言うならそうしよう」
「そうだな、長次が言うんだものな!」

うんうんと頷いて、三人でごろりと横になる。
そのまま目を閉じれば一瞬で眠りにつけそうな心地よさだ。

「ふああ…本気で眠い」
「私も…」
「…ぐう」
「あれっ、長次もう寝てる!?」
「ぐう」
「えっ小平太も!?ええい、それなら私も!」

あっと言う間に眠りの国へ旅立った長次と小平太にぎりりと歯をたてて、対抗心を燃やす。
いや睡眠への早さを競ったってしょうがないんだけど。
まあいいや、とにかく私だって眠いのは確かなんだしさっさと寝てしまおう。
…ぐうう。

…なんて調子で眠りについて半刻ほど。
夢の中で小平太たちと一緒にバイキングに行き、店の店長に食べ過ぎて追い出されるという悲しい経験をした私がぱかりと目を開けるとそこには私の顔を覗き込む小平太と長次の顔が。

「うおおっ!?な、何!?」
「お前、もうちょっと女らしい声を出せないのか?」
「…男らしい悲鳴だった」
「ええー、君ら二人にまで言われるなんて私のメンズ力どこまで高いのさ」

そういうのを普段まったく気にしてない奴から言われる女らしくない、は結構ダメージ受けるんだからな!
まあ別に気にしないけど!

「いやそれより何?二人して私の顔を覗き込んで。まさかいたいけな子羊である私に乱暴しようと…?」
「ないな!」
「ない」
「そこまできっぱり言われるとそれはそれでムカつくんですけど!」

そんなに女子として魅力がないってか!?ああ!?
むっとしてそう言えば小平太たちはないな!ない、とまったく同じ答えを返してくる。
く、くそう!否定するだけの根拠がないから言い返せない!

「へっ、なんだいなんだい、お前らなんて大っ嫌いだよ!」
「いやそれもないだろう」
「ないな」
「確かにないけど何その自信。腹立つわ」
「ははははは!細かい事は気にするな!」
「細かくないけどまあいい!私はでっかい事も気にしないたちだからね!」
「名前はもう少し気にするべきだ」
「えっ何で?」
「………」

聞き返したら黙り込まれてしまったがまあいい。
それよりそろそろお腹がすいたなあ。

「ねえ、食堂行ってなんか食べない?」
「おおいいな!」
「よっしそれじゃあ食堂へゴー!」
「ゴー!」

ノリ良く右手を上げて乗ってくれた小平太と、無言ながらこちらも右手を上げてくれた長次と共に食堂へ向かって歩き出す。
今日の夕飯は何かなー、なんて考えてご機嫌な私はもうとっくに忘れていた。
長次と小平太が何故か私の顔を覗き込んでいた事を。
そしてその覗き込んでいた理由をきちんと聞かなかった事を、このすぐあとに後悔する事になる。

「ぶはっ、おま、涎のあとすげえぞ!」

でかい声でそう叫んで注目を集めてくれた留三郎、私はお前を絶対に許さない!

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