※現パロ


「不破くんってば本当に天の神様がこの地上に遣わしたと確信を抱くしかないぐらい天使だよね…」
「ああ、まったく同意見だ。雷蔵は信じられないぐらい純粋で優しく清らかだ…」
「この間も教科書を忘れた私に一緒に見ようなんて声をかけてくれて…」
「私も消しゴムを忘れた時、消しゴムを半分に切って渡してくれたんだ…」
「「天使だ…」」

ほう、と二人で息をもらすのは僕の従兄弟である鉢屋三郎とクラスメイトの名字名前さん。
息もぴったりに僕を変な方向へ褒め称える二人はなんと恋人同士だ。
二人でする会話の中心は何故かいつでも僕という、よく分からないこのカップルは学園でもとても有名だったりする。
何しろ三郎も名字さんも学年一位と二位を競い合う学力の持ち主な上、三郎は陸上部のエースで名字さんは水泳部のエース。
しかも二人とも生徒会に所属している。
そんな、ただでさえ有名だった二人が付き合い始めたら注目を集めるに決まっていた。
その上、付き合い始めた理由が何を隠そうこの僕だったから余計に話題の的になってしまったのだ。

僕としては非常に不本意なのだけど…なんというか、二人は僕を崇拝している。
僕を崇めて、称えて、悦にいるという一連の流れを経て二人は意気投合した。
本当に勘弁して欲しい。
けれどこの二人はもうどうにもならない事は分かっているから口出ししない事にしている。
咎めるだけ体力の無駄だ。

「なあ名前、何故雷蔵はあんなに素晴らしいんだろうな」
「うん、本当に…私たちみたいな凡庸な人間がそばにいられる事を感謝しなきゃね」
「ああまったくだな」

君たちが凡庸なら他の人間は何なんだと聞きたい。
君たちが誉めてる僕こそが凡庸な人間なんだと理解してほしい。

「ねえ三郎、不破くんが天に帰っちゃう日は来ると思う?」
「ああいつかはな…だがこの私が命に代えても雷蔵を神に渡したりはしない!」
「うん、その時は私も戦うよ!」

そんな日は来ない、永遠に。
あったとしたらそれは僕が死ぬ時であって神との戦いになったりはしない。

「そういえば雷蔵を賛美する歌を作ったんだ」
「何それ素敵!CD作って販売しようよ!」
「馬鹿を言うな。私が雷蔵とお前の為に作った歌を何故雷蔵とお前以外に聞かせなければならない?」
「三郎…!うん、じゃあ私と不破くんだけに聞かせて…?」

聞きたくない。
絶対に聞きたくない。
本気で聞きたくない。

「…っていうか、いちゃつくならよそでやれえええええ!」

切れた僕にじゃあ三人でいちゃつこう!とか言い出した三郎をぶん殴ったのは不可抗力の出来事だったと明言しておく。

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