※現パロ


「たけやん!見てこの子かわいくない!?」
「おほー!やっぱ狼いいなー!」
「だよねえ。でもリスもかわいいよね」
「俺はネズミも好きだな」
「ウサギも安定のかわいさ!」
「何気にカンガルーも捨てがたい!」

きゃっきゃっとはしゃぐ二人を横目に私は顔をしかめながらケータイをいじる。
別にメールをする訳でもゲームをする訳でもない。
ただ単に二人の会話に興味のあるそぶりを僅かでも見せたくないだけだ。
いや、事実として二人の会話に興味などない。
私が気になるのは二人の距離の近さだ。
名前と八左ヱ門は互いのゲーム画面を覗き込んでいるせいでものすごく近い。
あとちょっとでも近付いて顔を見合わせればキスできてしまいそうだ。
まさか事故チューなどという恋愛ゲームのような事は起きないだろうな…!?

…いやいや、落ち着け鉢屋三郎。
まさかそんな事ある筈がない。
というかそろそろ気付いて距離を取らないか八左ヱ門!
名前は私の彼女だぞ。
普通は遠慮とかあるだろう。
だいたいお前、女子は苦手とか言ってたじゃないか。
だというのに名前とのその距離はなんだ!?
名前なら平気だとでも?
そんな少女漫画みたいな展開を私は認めないぞ!

「ちょっと三郎、顔が残念な事になってるよ」
「ら、雷蔵!しかしだな!」
「意地張ってないで三郎もやればいいのに」
「嫌だ!私のイメージじゃない!」
「大丈夫だよ。名前がやってるから付き合ってやってるんだってみんな思うよ」
「今からやっても追い付くのが大変だろう!」
「…はあ、三郎はそういうところ、面倒だよね」

な、なんだって…!?
ショックを受ける私をよそに、雷蔵はカバンから3DSを取り出してさっさと名前たちのところへ行ってしまう。
そして名前たちを一緒に南の島行こうよ!なんて誘っている。
何を隠そう雷蔵も名前と同時期にあの忌々しいゲームを始めた口だ。
名前も雷蔵もあのゲームをやっている間は私にかまってくれず、いつも悔しい思いをする。
腹立たしい。
そして寂しい。
だがだからと言って私もあそこに加わってどこかの村の村長をやるのは絶対に嫌だ。

ぎぎぎとケータイが妙な音を立てるほど握り締めながら必死に視線を三人からそらす。
モンハンなら私だってやるのに!
何でお前たちはそんなのほほんと田舎暮らしを楽しんでいるんだ!!!

「あれー三郎どうしたの?」
「…勘右衛門か。ふん、村長は帰れ」
「何だよもー。まだ意地張ってんの?」
「うるさい、放っておけ」
「じゃあほっときまーす」

言いながら自分の鞄からやけに派手に装飾された3DSを取り出し、三人のところへ参加する勘右衛門。
新しい村民自慢などしてはしゃぐだなんて私への当てつけか!?
く、くそ、悔しい…!
雷蔵と名前の間を陣取るなんて羨ましいにもほどがあるじゃないか!

…だ、だがまあいい。
勘右衛門が来たという事は兵助も来るという事だ。
そうすれば私は一人じゃなくな…あれ?

お、おかしいぞ。
確かに今、兵助が教室に入って来たが兵助の手に3DSがあるように見える…。
いやまさかそんな。
昨日までは確かに持っていなかったじゃないかなあ嘘だと言ってくれ兵助…!

「聞いてくれみんなぁぁぁ!いつのまに通信で豆腐のように真っ白なカドケシソファが配信されてきたぁぁぁ!!!」

…鉢屋三郎14才、今日からどう森始めまっす☆

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