ネタメモの半獣小平太設定。


「名前おかえりチョコレートは?」
「ずいぶん雑なおかえりだな…」
「チョコレートは?」
「あんたねえ…」

なんていう私の小言とため息はなんのその、小平太は尻尾をぶんぶん振りながら私に両手を出してくる。
朝からチョコレートチョコレートうるさかっただけあって小平太は貰う気満々みたいだ。
これでもし買ってきてないとか言ったら尻尾と耳が垂れてあからさまにしょんぼりするんだろうなあ。
簡単に想像がつくその姿を思い浮かべるとなんだかおかしい。
半分犬なんだから当たり前だけど、小平太って本当に行動が犬っぽくてひとつひとつの発言や動作があんまりにも素直だ。
そんな小平太を見てると私も素直に…とはいかないけど、なんだかんだでつい甘やかしてしまう。

うーん、こんな風に油断しているといつか本当にうっかり食べられちゃいそうだ。
小平太は純粋で無邪気なだけじゃなく、雄としての本能的なものもしっかり発達しているので気をつけないとあっと言う間にぱくりだろう。
実際、何度危うく流されそうになった事か。
住所不定(何故か今は有職)の謎の生命体と結婚なんて言語道断なので断固拒否しなければならない。

…まあ、それはそれで気をつけるとして。
今回はバレンタインチョコをとっても楽しみにしているらしい小平太の期待に応えて、ちょっと奮発してゴディバのチョコレートを買ってきた。
いつもならゴディバなんて自分チョコにしか買わないんだからな、まったく。
そんな事を考えながら鞄にしまってあったそれを取り出し、はいと渡してやれば小平太はおおー!と声をあげて受け取った。

「ゴディバだ!」
「そうゴディバです。高いんだから感謝してよね」
「うんうん、本命だものな。すごく嬉しいぞ!」
「ちょ、誰が本命だって言った!?」
「卵を特売の時にしか買わないケチな名前がゴディバをくれたんだ。本命に決まってる」

な、なんだと貴様…ケチと言ったかケチと!
お前がやたらとご飯をおかわりするから切り詰めてるんじゃないか!

…って違う違う、反応するのはそこじゃなかった。

「私の本命が小平太な訳ないでしょ!」
「うんうん、分かってるぞ」
「絶対分かってねえええ!!!」

したり顔で言う小平太を怒鳴りつけるけど、小平太はそんなものどこ吹く風。
私の怒りなんてまるっと無視してゴディバの包みをあけ始めている。
ああもうまったく、なんていう居候だ。
不満の顔を隠さず面に出すけど当然それも効果無し。

「まあいいや、あんた相手に何言っても無駄だし。とりあえず大事に食べてよ」
「おう!でもなんだか食べるのもったいないな」
「小平太でもそんな事考えるんだ」
「失礼だなー。私は名前がくれたものは全部大事にしてるぞ」
「…あっそう」

くそう、嬉しいとか思った自分自害しろ。
顔を赤くしながらそっぽを向いた私は、そんな様子をにまにましながら小平太が見ていた事なんてまったく気付かないのだった。

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