※現パロ


「くたばれ三郎!」

そんなセリフと共に跳び蹴りをかましてきたのは名字名前。
ちょっと嫉妬深くてかわいい俺の恋人だ。
嫉妬のあまり俺に度々暴力を振るうがそんなところもかわいくて仕方ない。
何より俺を殴ったり蹴ったりしている名前の顔が泣きそうに歪んでいるのがたまらないのだ。
あと最近は暴行を受けるのもちょっと快感だったりする。
変態?ああそうさ俺は名前限定の変態さ!

「何ドヤ顔決めてんだこの浮気野郎!」
「いやすまんつい」
「ついって何だついって!」
「名前がかわいくて」
「なっ、何言ってんのアホ!」
「ぐっは!」

照れ隠しに俺を殴る名前の顔は真っ赤に染まっていてぞくぞくしてしまう。
そんな私を遠巻きに見ている雷蔵の顔が無表情になったのが分かったが、どうにも止められない。
愛故にこうなってしまうのだから仕方のない事だと諦めて貰うしかないのだ。

「…名字さん、もう三郎と別れたら?」

雷蔵がそんな都合のいい事を考える私をやはり無表情のまま見つめつつ名前にそう勧めれば、名前は小さく頷いて半笑いを返した。

「うん、最近ちょっと本気で検討してる」
「何を言っているんだ。私が名前と別れる訳がないだろう」

すかさずそう言えば、黙れよ浮気野郎、と冷たい声がかけられてぶるりと体が震える。
ああもう、本当にたまらない!

「…別れようか、三郎…」
「別れた次の瞬間から私は名前のストーカーになる訳だが」
「諦めろよ!」
「諦めたらそこで試合終了だとかの有名な先生は言っていただろう?」
「安西先生だってストーキングするようなやつには諦めろって言うと思うよ…」

だろうな、とは思ったが私はそれについては何も答えず、疲れた様子の名前に笑顔を向けた。

「名前がいなければ私は死んでしまう。分かっているだろう?」
「ぜんっぜん、分からない。本気でそう思ってるなら浮気とかしないよ普通」
「あれは浮気ですらない。私の心はいつだって名前しか見ていないからな」
「じゃあ何で他の子とデートすんの?」
「名前が嫉妬してくれる事に喜びを感じる」

にっこり笑って言えば名前はふざけないでよと泣きそうな顔をする。
その顔が好き、抱きしめながらそう囁けば名前は最低、と泣き出す寸前の声で呟いた。
うん、分かってるんだそんな事。
自分が普通じゃない愛し方をしてるんだって。
だけど、でも。

「それでも別れないんだから君らはお似合いなのかもね」

そう、雷蔵の言う通り。
私が浮気をしなければどこかに本命が出来たのかも、なんて不安がる名前だって普通じゃないから、結局のところ私たちはこうやって付き合っていけばいいのだ。

「三郎のバカ」
「もっと言って」
「変態」
「それから?」
「キモイ」
「うんうん」
「…好き」
「私も」

ほらな、お似合いだろう。

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