天女が来た!なんていう大事件が発生して数日。
天女の子に何度か話しかけようと努力してみたんだけど、いつも生徒たちに囲まれている女の子に私はまったく近付けていなかった。
一応目が合って手を振ったりしてみたんだけど、あっさり無視されたし。
何か話す前から嫌われてるっぽい。
私が透明だから幽霊だって思われて怖がられてるのかなあ…。

「うーん、これだけ無視されるとまるで透明人間になったみたいだよ」
「名前さんもう半透明ですよ」
「あっそうだった」

今日も遊びに来てくれた伏木蔵くんに指摘されて頷くと伏木蔵くんはうふふと笑う。
あ、今私をバカにしてるな。
半月以上も一緒にいるからもう分かるぞ。
触れたらくすぐりの刑に処すとこなんだからね!
なんてくだらない事を考えながらふうとため息。
友達になれると思ったのになあ。

「あちらはお友達はいらないみたいですよ」
「私が透明じゃなかったらなあ…」
「そこは問題じゃありません。空から降ってくる天女は天女とは名ばかりの男好きですから、女友達なんか必要ないんです」
「伏木蔵くん、天女の子としゃべったの?」
「いいえ、でも分かります。今までの天女はそうでしたから」
「そういう決めつけはよくないよ」

だってそれじゃあ私に対する他の忍たまたちと一緒だ。
私はそれですごく悲しかったし、今も辛い思いをしてる。
だから天女の子だってきっとそれぞれで違うし、ああやって異常なぐらいもてもてなのを怖がってるかもしれない。

「だから、話をしてみたいんだ!」

なんて、笑顔で伏木蔵くんに言った数時間後、私は見事に天女の子と会話をする事に成功していた。

「あんた天女とか言っちゃってなんのつもり?マジうざいんだけど」

…こんな、予想とは大きく違う悲しい会話だったけど。
うーん、なんか生徒の子たちと話してる時と全然イメージ違うんだけど何でだろう?
はっ、まさかこれがメンズの前ではにゃんこをかぶり、虎視眈々と爪を研ぐ肉食系女子というやつ?
ひええ、初めて見た!

「えっと、私は別に自分から天女って言った訳じゃなくて、」
「自称だろうが他称だろうがどうだっていい。ただ私以外に天女はいらないの。だからあんたは消えてくれない?」
「えええ!?台詞ちょう悪役過ぎない!?そこまでいくと面白いよ!?」

思わず突っ込むと天女の子はうっざ、なんて小さく呟いてからにやりと笑みを作る。

「見てなさい、天女は私一人だって思い知らせてあげるから」

そう言うともう私に興味を無くしたように天女の子はすたすたと歩いていってしまった。
…えーと、いまいち状況が理解出来てないんだけど…。

「とりあえず、友達計画は失敗って事なのかな…」

そううなだれた私の頭に、だから言ったでしょう、と笑う伏木蔵くんの顔が浮かんで消えた。


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