私が忍術学園に来てからそろそろ二週間になる。
相変わらず忍術学園の皆さんからは睨まれ無視されているけど、伏木蔵くんは変わらず私に会いに来てくれるし昆奈門さんもたまに遊びに来てくれるようになった。

昆奈門さんは忍術学園の関係者じゃないからしょっちゅうは来れない…とか言いつつ二日置きぐらいで来てくれる。
…いいのかな…仕事とか。
なんて思ったりもするけど聞いたら悪い事かもしれないからそこについては触れないでいる。
だってほら、もし自宅警備員の方だったら申し訳ないし…。

まあそれはともかく、昆奈門さんは遊びに来る度にお土産のお菓子を持ってきてくれて、この世界の事を知った方がいいなんて言っていろんな事を教えてくれる。
話上手な昆奈門さんの話を聞いてると時間を忘れてしまうほど楽しい。
最近は伏木蔵くんと二人で昆奈門さんにあれを話してこれを話してなんてねだると仕方ない、って顔で話してくれるのがお決まりになってきた。
まあ話の途中で寝ちゃう事もあって、しょっちゅう呆れた顔されてるんだけど…。
でも今日はいつもの私と違って昆奈門さんの話の途中で寝る事はなく、むしろいつも昆奈門さんと一緒に呆れた顔をしてる伏木蔵くんが眠ってしまった。
今日は外に実習に行ってきたって言ってたから疲れてたんだろうなあ。

「癒されますねえ、子どもの寝顔って」
「名前ちゃんの寝顔とは大違いだね」
「むっ、失礼な!私の寝顔だってたぶんマイナスイオン出てますよ!」
「マイナスイオンって何?」
「えっ?ええと、ほら、あれですよ、なんかほら、癒やし効果がある的な?」
「つまり名前ちゃんもよく分からない、と」
「…はい」

マイナスイオンについてはっきり説明できる人なんてそういないと思う。
でも室町時代でマイナスイオンなんて言葉を使った私が悪かったです、はい。
たまに普通に通じたりするからうっかりしちゃうんだよね…。
伏木蔵くんが使うスリルとかエキサイティングとかの単語は通じるんだから忍たまの世界って謎だ。

「しかしあれだね」
「はい?何ですか?」
「こうやって三人でいると親子みたいだよね」
「…父、娘、息子?」
「父、母、息子でしょ」
「えー…」
「えーって何?おじさん傷付くんだけど」

わざとらしくがっくり肩を落とす昆奈門さんについ笑っちゃう。
ていうか包帯男の父と透明な母と常に顔色悪い息子ってどこのホラーなの。
三人で並んで家族写真とか撮ったらアダムスファミリーと良い勝負だと思う。

「…名前ちゃんに触れたらとっくに手込めにしてるんだけどねえ」
「てごめ?何ですかそれ」
「分からないと思って言ってるから分からなくていいんだよ」
「ええ?どういう事ですか?」
「そういう事なんです」

にやりと笑ってこの話はおしまい、なんて言う昆奈門さんはきっともう絶対に教えてくれないんだろうな。
意味深なことを言うだけ言って教えてくれないないんてひどいと思う。
昆奈門さんの愉快犯!

「ふふふ、そうやって睨まれるのも悪くないね」
「昆奈門さんて変態なんですね」

冷たい目で昆奈門さんを見たらますます嬉しそうにされてしまった。
変態さんの喜ぶポイントって私にはよく分からない。


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