......





「だっ…大丈夫、フラン?」
「ゲロゲロー」


遊園地のベンチ
少し辛そうなフランの背中をさすってやる


「絶叫系とかなんなんですかー」

「苦手だったら言ってくれれば良かったのに」

「てかあれ可笑しいだろー、何でグルグル回んだよ」

「だってそういう乗り物だもん」


フランが指差したアレっていうのは回転ブランコ

回転ブランコが回転したなかったらただの高いブランコじゃん


「うわっ、また回ってますー」


次の人を乗せてまた回りだしたそれを見て眉を寄せるフラン

絶叫系が苦手って言うより目が回っただけなのかな?


「ミーもう疲れちゃいましたー」

「えぇっ」


うそうそうそっ
まだ来たばっかりだよ?
色んなモノ乗りたいしショーとか見たいのにっ

…フランが疲れたって言うなら、あたしも一緒に休んでようかな


「何か乗ってきたらどうですかー?」

「でもっ」
「ミーちゃんと近くで見てるんで」


そう背中を押されて行った先には凛々しいお馬さんや綺麗な馬車があるメリーゴーランド

フランは無理矢理その中に入れたかと思ったら自分はアトラクションから出てすぐ傍のベンチに腰掛けてしまった

…独りで乗ったってつまらないよ

そんなあたしの事はお構いなしでメリーゴーランドが動きだす

回る景色をボンヤリと眺めて2、3周ふとフランを見たらベンチを立ち何処かへ向かっている後ろ姿が見えた


「ちょっ、フラっ!!」


引き止めようと手を伸ばし名前を呼んでも可愛らしいメロディーがあたしの声を掻き消してしまう


「…(フランは…、今日楽しめてるのかな)」


何だかあたしだけが浮かれてはしゃいでるみたいだ
本当はもっと二人で楽しみたいのに

どうして上手くいかないの?


メリーゴーランドがゆっくりとスピードを落として止まる

あたしは俯いたままの状態で降りてアトラクションの出入り口で爽やかな笑顔で『ありがとうございました』とお礼を言うお兄さんの脇を通り抜けて行った

楽しそうな声があちこちから聞こえる中ベンチの前にポツンと独り佇む

まるで世界があたしだけ取り残したみたいだ

瞼の奥がだんだん熱くなってきて一粒溢れそうになった瞬間あたしの視界に脚がはいってきた

黒いパンツにスニーカー

それが誰だかすぐに分かったあたしはバレないうちに服の袖で目をグイグイと擦る

こんなみっともないトコ見られたくない





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