秘密の片想い



スクアーロはボスが好きだ


勿論恋愛的な好きじゃない
人間として、暗殺者として好いてる


ボスが眠って数年
スクアーロの髪は少しずつ伸びていって年月が経っているのを思い知らされる

スクアーロはどんな気持ちで髪を伸ばしてるのかな?


「ゔぉぉい、メル」
「何?」
「片付け手伝ってくれぇ」


机の上に散乱した古い書物を重ねるスクアーロ
あたしからすると一気に沢山持って来なければいいのにとも思うけど


「うん、分かった」
「お前はこっちでいい」


山になった書物に手を伸ばしたら止められた
代わりに渡されたのは数冊の本で残りの山はスクアーロが持ってくれた

これ、あたし居る意味ないんじゃないかな?


「もうちょっと持つよ?」
「んな持ったらテメーの腕折れるじゃねぇかぁ」

「これでも力持ちだもん」

「んな細っこい体じゃ説得力ねぇぞぉ」


『重てぇモンは男が持つのが普通だぁ』
とか言いながらスクアーロは山の本を片手で持ち直して頭をポンポンと撫でてくれた

さり気ない優しさに胸が熱くなる


そう、あたしは…スクアーロに恋してる


ちょっと不器用なトコとか、何気に優しいトコとか
兎に角スクアーロが好き
大好き


だけど、今はバレちゃいけない


ヴァリアーにとっても大事な時期だけどスクアーロにとってはもっと大事な時期なのは分かってるもの


主が復活出来なかったらスクアーロはどうなるんだろう

生きる意味を無くした鮫は泳ぐ事を止めてしまうのだろうか?

その時あたしは彼に何かしてあげられるのかな?


「ゔぉぉい、どうしたぁ?重いか?」
「あっ、ううん。何でもない」


あたしがボケーッとしてたのが気になったらしいスクアーロは腰を曲げて覗き込んできた

そんな仕草にもキュンとする


「早く運んじゃおうっ」

「…ありがとなぁ」

「大丈夫だよ、雑用なんかなれてるし」
「ちげぇ、そっちじゃなくてよぉ」

「へ?」

「お前が色々気…つかってくれてんの、分かってるぜぇ」

「気なんかっ、つかってないよ?」

「俺が気付かない訳ねぇだろうがぁ」

「あたしは、別にっ…」


「サンキュ」


そう言って髪をワシャワシャと撫でた手が温かくて恥ずかしくなったあたしはその後スクアーロの顔を見ることが出来なかった




......

(あ゙?どうしたぁ?)

(何でもない!)



貴方の一挙一動が愛しいの

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