ヴァリアー亭の日常



XANXUSが眠りについて数日、今日もまたヴァリアーは朝を迎えた

窓から差し込む朝の日差しが眩しい
ゆっくりと体を起こすと全身に鈍い痛みを感じた


「うぉ゙っ、い…てぇ」


目の前には固い机と頭が痛くなるような書物
あぁ、調べてる途中で寝ちまったんだなぁ

これだけ調べても参考になる資料はゼロ
正直嫌になる
けど、簡単に諦める俺じゃねぇ
こんなんで諦めたら無理矢理奪い取った剣帝の名が廃るじゃねぇかぁ

っても、起きてそうそう書物を読む程俺もイカレちゃいねぇ


「顔洗って食堂でも行くかぁ」


気怠い体を起こして顔を洗い髪をセット
時計を見るとそろそろ朝飯の時間


「オカマとメルが飯作って待ってるなぁ」


部屋を出て早足で食堂へ
きっと俺以外は揃ってんだろうなぁ



バタン!



勢いよく食堂の扉を開けるとソファーでじゃれ合っていたベルとマーモン
否、マーモンの頬で遊ぶベルともがいているマーモンがこちらを見た


「ししっ、うるせーのが来たっ」
「ベルっ、いい加減離してよ」

「あらー、スクちゃんったらお寝坊さんね〜ん」

「ぬ…やっと起きたか」


いつもと変わらねぇ面々の中にメルを見つけた

メルはいつもと変わらねぇ笑顔を浮かべていつもと変わらねぇ挨拶


「おはよう、スクアーロ」
「ああ゙」
「昨日はよく寝れた?」


なんて聞いてもホントは分かってんだろぉ?
俺が机で寝てた事位

肩に掛かっていた軽い掛け布団をはお前がやったからだろ?
言わなくたって分かるぜぇ

だけどメルがあまりに自然に問いかけるから俺も変わらず返した


「まあなぁ」


そうしたらメルは嬉しそうな顔をして『そっか』と返してきた



いつももと変わらない朝
変わらない朝食
変わらない幹部


主が居なくても変わらないこの屋敷に安心しながらも少しだけ怖くなった




......

(何ボーっとしてるの?)

(腹減っただけだぁ!さっさと飯喰うぞぉ!!)



こうしていくうちにXANXUSの記憶が薄れていくのかぁ?



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