俺の日課




「ぐぁぁぁぁ!!」



俺は今にも崩れ落ちそうな柱に寄りかかって聞いた



XANXUSの最後の声を






......


数年後、俺達の起こしたクーデターは『揺りかご』と名付けられた


ボスが眠りについて数年、俺は毎日のようにアイツが居る場所を訪れた

何する訳でもねぇ
ただ自然と脚があそこにに向いた
ただボーっとボスが眠る箱を眺めて、触って帰る

ボスを眠らせる氷を溶かす方法を調べる事とオンボロのそこに通う事が俺の日課になった



「ねぇ、スクアーロ、少し休んだら?」

「ゔぉ?あぁメルかぁ」


山積みになった古い書籍を読み漁っていた俺に掛けられた声に振り向くとそこにはメルの姿があった

手には紅茶のカップ
部屋に漂う紅茶の香りにメルがこの部屋で紅茶を淹れたのかと理解出来た

声掛けられてやっと気づくなんざ俺らしくねぇなぁ
どんだけ集中してたんだぁ?


「サンキュ」
「あんまり根詰めてやると老けるよ?」

「なっ!余計なお世話だぁ!!」


俺の言葉に『冗談だ』と付け足して笑う

メルとはヴァリアーに入って以来の仲
同期だから一番話やすいし絡みやすい

別に絡みてぇ訳ではねぇがなぁ

でもまあメルと絡むのは悪い気はしねぇ
それなりに俺と距離を保ってくれてるらしく俺の考えている事やしている事には口を出さねぇ

何より居心地がいい


理由は…分からねぇ
ってか居心地がいいっつーのに理由なんか必要なのかぁ?


「まーた難しい顔してる」

「そうかぁ?」


ボーっとしていた俺の顔を覗き込んでくるメル

うぉ゙…顔近けぇ

メルは幹部ではない、ヴァリアーの下っ端主に雑用がメインで戦闘には出ない

そんなメルは結構可愛いかったりする

ヴァリアーの女共(メイドも含め)の中でもルックスは中の上
綺麗過ぎずかといってブスでもない可愛い奴

性格もいいからなぁ
男にもモテんじゃねぇかぁ?

でも、メルに男が出来たって話も聞かねぇしななんだぁ?
仕事人間なのかぁ?


「スク?」
「あっ、あぁ゙」
「どうしたの?疲れてる?」
「いや、大丈夫だぁ」


目の前に出されたアールグレイティーの香りを堪能しながら散らかった書物を机の脇に追いやった



......

(頑張るのも程々にね?)

(おゔ)



お前と二人で紅茶を飲む
それも俺の日課

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