別れは突然に



時は進むモノ


一定の速度で進み続ける





それが、生きているモノなら




「アル、もういい加減起きろって」

「まだ、眠いぃ…」


ベッドの膨らみに声を掛けても駄々をこねる子供の声

最近アルは寝る時間が長くなった
朝昼晩関係なく寝て、いつも眠そうな顔

それはもう終わりが近いから
アルの時間が止まるから
だから俺はあまりアルを寝かせたくない

そのまま起きなくなってしまうような
音もなく消えてしまいそうな気がするから


「ったく、ほら起きろっての」
「んぅぅ"…」


ユサユサと小さな体を揺すったらくぐもった声が聞こえた


「起きねぇとオカマが作った朝飯のドルチェ俺が食べるぜ?」

「やらっ」
「んじゃ起きろ」
「…お兄様っ、アル、なんかダルい」

「あん?熱あんの?」
「分かんない」
「…熱はねぇな」


前髪を払ってペタッとおでこに手を当てて計っても特に熱は無さそうだ
逆にちょっとヒンヤリしてる


「んじゃオカマに言って何か作らせて持ってくっから」

「んぅ、ありがと」


弱々しく笑みを浮かべるアルの頬を優しく撫でてから布団を掛け直してやって部屋を出た








んで、とりあえず、体に良さそうなモンを作って貰った訳だけど…

アル、ぜってー食わねぇだろうな
アイツが嫌いなモン入ってるし


消化しやすいモノ
ジャッポーネのモノで例えるならお粥とかうどんとか言うやつに近いもんだと思う

嫌がるだろうけどたべさせるしかねぇか


部屋まで来てオカマ作って貰った飯を片手で持ち直し扉を開ける


「アル、飯持ってき…」





ふんわりと差し込む日の光、眩しさを際立たせる真っ白いベッド





無人のそこに俺はただ立ち尽くすしか出来なかった





.......
(俺が居ない時に消えるなんて反則だろ)



まだ、お前に何もしてやれてない


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