■ 『すとーきんぐえんかうんと』 tukumo
【がおー】
この薄気味悪い学校に潜入をして2ヶ月と少し。そんなメールが届いた。届いた?届いたのだろうか?自作自演?なんでそんな疑問を思い浮かべてるのかはこの状況を聞いてくれれば分かるだろう。
「...なんで俺、自分に自分でメールを送ってるんだよ...?」
でも文面に見覚えはなく身に覚えもない。正直気味が悪い。気味が悪い学園で気味が悪い現象。
「もしかして、まずいことしたかな...?」
ムムムと首を傾げる。廊下の柱に背中を預ける。気味の悪さは月瑚で背中にべったりと何かを塗りつけられたように剥がれない。そして気味が悪いと認知すると全てが薄気味悪く感じてくる。
まあ、それは点が3つあれば顔に見えるアレと同じだ。そうして携帯を見つめていると携帯が受信の表記をした。あれ、今日はやけに多い。そんなことを思いながらそのメールを開く。
「....」
気味が悪いを通り越して気持ち悪い、きっとこのメールを出しているやつは間違いなく根暗やいじめられっ子を絵に描いたような人間に違いない。自分が被害者に置かれているせいか少し熱っぽく考えてしまう。
【あなたを見ています。っていうか案外気づかないんですね、それともあんなメールを自分に送りつける趣味があるんですか?】
しかも内容がコレだ。立て続けにまた受信の表記がなされる。
「なんだよっ...」
次は看過できなかった。自分の退路が絶たれた気がした。殺されるのではないかと嫌な予感が背中を撫でる。
【刑事さん】
ただそれだけが書かれたメール。携帯を握る手が震える、だから無理だって言ったんだ、24歳のいい歳こいた大人が高校に潜入だなんて。命運がつきたことで頭が混乱をきたす。嗚呼、捕まって殺されるならいっそここから飛び降りてしまおうか。ここは7階。打ち所が良ければ楽に死ねるだろう。そんなことを考えているとまた見透かしたように着信音が鳴り響いた。
【俺は貴方の味方ですよ、がおー】
がおー、なんて間の抜けた...そこまで思考して顔を上げる。教室を覗ける位置にあるこの廊下の柱から見て真っ直ぐ。教室の窓に背中を預け、仮面の下から白いコードを伸ばしている少年がいた。その少年は月瑚が見ていることに気づけば顔を上げて首を傾げて片手で猫の手を作るのだった。
仮面 月瑚
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