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第十三話 開始

金色の瞳が月の光りを受けて鋭く光っている
口元は美しく骨格が上がっていた
「宍戸……新しいアレか?」
“あれ”…つまり
――――獲物
その言葉に長太郎は仁王を鋭く睨みつけた
いくらなんでも失礼だっ…
「仁王さん、もうその言葉を口にしないで下さい
どうであっても貴方には全く関係の無いことだ」
一瞬で冷たくなった気温に赤也は目を開いた
「流石氷帝じゃ…
そう怒りなさんな
ココで何言い合っても同じやろ?」
「ココで?どういう意味ですか?」
眉間に皺を寄せながら、言う長太郎に終始仁王は艶やかな笑顔で答えた
「合宿が楽しみぜよ。」
「がっ、しゅく?」
その長太郎の反応を楽しむように立ち去った

ぴよっ


「マジかよっ!」
長太郎の話に宍戸は思いっきり声を発した
跡部もこの話には顔をしかめている
溜息をつきながらも長太郎は最後に小さく、言葉を繋げる
……とてつもなく言いにくそうに
「えっと、だから…、合宿の話が絶対来ると思います」
長太郎もどうするれば良いか分からないと言った困惑した表情をしていた
「Bloody rose…上手くやってけねぇのかよ」
足元を睨みつけていた宍戸は、独り言のようにつぶやいた
「そいつらが名前に少しでも興味を持ったんなら、テニス部に関係無かろうが合宿に参加させるだろうな
あの真田もどうでるかわかんねぇしな」
大きなソファーで足を組み直しながら、跡部が言った
「名前さんも…ですか?
なら、合宿中名前さんはどうするんですか?どう考えても危険です!
普通の合宿が無いんですから」
長太郎は動揺を隠しきれない表情を跡部に向ける
しかしその問いに跡部は軽く微笑んだ
「え?」
思いがけない跡部の表情に長太郎はびっくりする
「どうもこうも、させる気はねぇだろ?」
「当たり前だろ。連れてかねぇといけねぇんなら、極力あいつには触れさせねぇ!」
宍戸も跡部の横にどかっと座ってはっきり言った
「あいつが怪我でもしたら一番やばいのは俺だしな」
宍戸の返事を確認した跡部は先にやっておかないといけない事を口にした
「テニス部に名前を入部させるぞ」
「おう!」
「はいっ!」

翌日
放課後、私は宍戸に呼び出されてた
昼休みに声をかけられて、
(一緒にお喋りしてた女の子達に質問攻めにあったのはいうまでもない)
何だろと首を傾けると放課後テニス部の部室に来いとの事
部室に行っても良いんだろうか
しかもあのテニス部の…
誰から見てもオーラを発しているあの集団の部室とだけあって少し
行きにくかった
とその時、

ドン!

下を向いて歩いていると突然誰かとぶつかった
走っていたわけでもないので、痛くは無かったけど‥‥
「あのごめんなさ‥‥」
「いえ?全然
こんにちは、名前さん」
その声にさっと頭をあげると、見上げるほどの長身
きらきら光る銀髪
案の定長太郎が微笑んでいた
「あ、長太郎君……身長何センチあるの?」
クスッと笑われる
「185です
名前さん部室に向かってるんですよね?」
その問いに頭を縦にひくと、長太郎はじゃあ行きましょう。と先を歩き始めた
横に並んで、一緒に歩く
「えーっと、何で私が部室に行くの知ってたの?」
「何でって、宍戸さんに呼ばれましたよね?」
前方に向けていた視線を私に合わせた
「うん、宍戸君に呼ばれたけど…なんで呼ばれたかのか分かる?」
そう聞くと長太郎はふっと笑顔を作った
「直ぐ分かります
ところで昨日は無事に帰れました?
襲われませんでしたか?」
「??だれに?」
「あはは
いいえ、着きましたよ」
そういわれて顔を上げると他の部とは比べものにならない位豪華なレギュラー専用部室と、その扉に背中を預けて立っている宍戸君が目に入った
その顔は不機嫌そうだ

「あ、宍戸君遅くなっ‥‥‥」
私が全て言い終わる前に宍戸君は一方の眉を上げて長太郎君に視線を向けた
なんか・・・怒ってる?
困った私が隣を見上げると
‥‥‥??
長太郎君はすごい苦笑い
「え、あ、宍戸さん
あの、えーっと…」
なぜか焦っている長太郎君とその横で困ってる私を見て、宍戸君は眉間に皺をよせながら
「‥‥長太郎お前を襲おうか?
つーかもう全員そろってるから中入れ」
その言葉に止まっていたまた足を部室に向かって、進めた
やっぱり部室に呼ばれたんだから入らないと行けないのか‥‥‥
私が隣に立ったのを確認して、宍戸君は一回ちらっと私と目を合わせて口を開いた
「名前、今日からマネージャーだ」

‥‥‥ん?

「えっ、えっ、マネージャーって‥‥」

私が言葉を口にする前に、宍戸君は躊躇も無しに部室のドアを開けた

瞬間

冷たい風が吹いた気がした


ドアが開かれると同時に冷たい空気が喉の奥まで入って来た
一度に向けられる複数の視線
(‥‥う、うわぁ)
思わず唾を飲み込んだ私は無意識に宍戸君の後ろに下がろうとした
すると、
ぱしっ
一番近くに座ってた人‥‥‥

忍足さんが私の腕をつかんだ

瞬間びくっとはねる肩
忍足さんは宍戸君の後ろに向かっていた私の動きが止まると視線を外さずに口を開いた
「何や…宍戸になついとるん?」

低く響く声
思わず瞳を見開いた
びりっと体が痙攣したように震えた

不安げに揺れる瞳を見て、痺れを切らした宍戸は即座に京羅から忍足の腕を外した
それを見て忍足は一瞬宍戸を視界に映したかと思うと直ぐ口元に艶やかな笑みを浮かべ、名前を見た

「よろしゅう」


第十四話へ
修正11/4/2

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