6.5
〈シンドバッド視点〉
「お休み、兄様」
「あぁ、お休み」
自分の部屋へと戻るナマエを見送り、扉が閉められたのを確認すると俺は溜め息をついた。
これで上手くいけばいいが…
ジャーファルが扉の外にいた事はわかった。
いくら気配を消したつもりだったとしてもあれではわかる。
まぁナマエは全く気づいていなかっただろうが。
だからこそ、ジャーファルに聞かせる意味でもあんな話をしたのだが。
ジャーファルもこれで少しはナマエの事を理解してくれただろう。
多分ジャーファルはナマエの事を勘違いしている。
だからそれさえ紐解いてやれば……
そもそもあいつらはお互いの事を全く知らないのだから。
実際あの2人は気さえ合えば上手くいくと思っている。
ナマエも、ジャーファルも
結局は人一倍人との繋がりを求めている。
確かに言い出したのはほんの思いつきだった。
だがナマエは俺に頼っている。
それは昔から感じていた事。
俺としてはそれは嬉しい事だがこのままではいけない事はわかっている。
俺だってずっとナマエについていてやれる訳ではない。
だからジャーファルと触れ合って少しでも人と関わる事を知れば――
そしてジャーファルも然りだ。
あいつは間違った生き抜く方法しか知らない。
それでも、あいつは俺を頼ろうとしてくれている。
だから俺もジャーファルを導いてやらねばならない。
結局人は1人では生きていけない。
お互い認めはしないだろうが
あの2人は似たもの同士なのだ。
だからこれで上手くいけば――
俺は本日二度目の溜め息をつき、淡い期待を胸に眠りについた。
121126
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