シャルルカン(ヤムライハ)の場合



「シャルルカン、いる…?」

「おー」


コンコンと遠慮がちにシャルルカンの部屋をノックし、おずおず部屋に足を踏み入れればベッドに横たわっていたとシャルルカンと目があった。
みるみるうちに目が見開いてくシャルルカン。


「おまっ…その服!?」


うん、やっぱりそう反応するよね。
私が今着ている服は何時も着ている服ではなくヤムちゃんの服だ。
うん、着るのにさすがに抵抗あったけどね。特に胸とか胸とか胸とか……
…あぁ自分で言ってて虚しくなってきた。
そもそもなんでこんな格好をしてるか――
それは全てあの馬鹿殿のせいだ!!
私は溜め息をつきながらどうしてこんな事になったのかを思い出す。


事の始まりはヤムちゃんとピスティちゃんとお茶してたとこにあのシンドバッドやってきたとこから始まる。
いきなりやってきたかと思ったら今日はハロウィンとかなんとかいう日だから服の交換会をやろうとか言い出して。
それで私がヤムちゃんの服を着ることになってしまった。
何故よりにもよって胸がコンプレックスな私がヤムちゃんの服なのか。全くもって意味がわからない。
しかもそれだけでは飽き足らず、この格好のままシャルルカンに会ってこいとかあの馬鹿殿は言い出す始末。
何、シンドバッド酔っているんですか?
全くあの人の思いつきだけの行動は何とかしてもらいたい。
しかもヤムちゃんやピスティちゃんまで一緒に悪ノリしだすからたちが悪い。
ピスティちゃん曰わく「シャルは胸に興味ないみたいだから大丈夫!」らしいけど何が大丈夫なのか。胸ですか。私の胸がなくても大丈夫って事ですか。もう泣いてもいいよね。
ヤムちゃんに至っては「あいつにはそんな勇気ないだろうけど一応気をつけてね」って言われたけど一体何に気をつけたらいいいのか。やっぱり胸を馬鹿にされないようにって事ですか。
あぁダメだネガティブになってる。
そして全ての元凶であるシンドバッドは面白そうに私達をにやにや見ているだけだった。あいつ絶対いつか殺す。



とにかくそういう訳でシャルルカンの元にやって来た訳だけど何が悲しくてこんな格好を見せなきゃならないのか…
とりあえず驚いてるシャルルカンにこれまでの経緯を説明すると納得がいったみたいだった。

「なるほど…ってかあいつら結局ひでーな」

「だよね。そんなに私の胸が馬鹿にされるのが面白いのか…」

「ちげーよ、そうじゃなくてこんなとこに――」

「えっ…」


不意に手を掴まれたと思ったのと視界が反転したのは一瞬の出来事だった。
気がついたら私はベッドに押し倒されていて目の前にはシャルルカンの顔があった。


「ナマエ一人で寄越すなんてよ」

「ちょっ…シャルルカン!?」


突然の出来事に私はパニックを起こす。
え、何この状況。全く意味がわからないんですけど。


「まぁ俺もあいつらに随分信頼されてたみたいだけど好きな奴がそんな格好してきたら襲わない手はないよな」


私の髪を手に取りチュッと口付けをするシャルルカンの行動に赤面する。


「だって、こんな格好っていっても私胸だってないしっ!」

「ピスティだって言ってただろ、胸の大きさなんて関係ねぇんだよ。ただ―好きな奴のそんな格好見せられたらさすがに欲情するっつーか」


髪から唇を離し今度は私のうなじにキスをしてくるシャルルカン。


「あっ、シャルル、カン…」

「そんなに胸が気になるなら俺が揉んで大きくしてやるよ」

「馬鹿っ!」


笑いながら言うシャルルカンをみていたら私がさっきまであんなに気にしていて沈んでいた気持ちは一瞬で吹き飛んでしまって。
やっぱり見かけで判断しないシャルルカンが大好きです。





A.愛を再確認しました








「じゃあ、早速…」

「…あ、ちょっと待って、確かヤムちゃんが――」

「ぎゃぁぁぁぁあ!」

「念の為服が脱がされそうになったら魔法が発動するようななってるって…」

「……それを早く言え…」




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