ジャーファル(ピスティ)の場合


「ジャーファルーいるー?」

コンコン、とジャーファルの自室をノックして入る。

「ナマエですか。どうかしましたか?」

「じゃーん、どう?ジャーファル!」


ベッドに腰掛け読者をしていたジャーファルにどうだと言わんばかりに両手を広げこの格好――ピスティちゃんの服を着た私の姿を見せる。

どうだ、可愛いだろう。
いや、私じゃなくてピスティちゃんの服ね。
私そこまで自惚れてないからね。

そんな私を見たジャーファルはピシッと音をたてて固まった。
あれ?どうしたの?


「おーい。ジャーファルさーん?」


ジャーファルに近づき目の前で手を上下に振る。
ハッと意識を取り戻したジャーファルは振っていた私の手首をガシッと掴んだ。


「うわっビックリした!!」

「ビックリしたのはこちらですよ!!何なんですかその格好は!!」

「いや、何ってピスティちゃんの服だけど」

「そんなもの見ればわかります。私が聞きたいのは何故そのような服を着てるかという事ですよ!!」


おぉ良かった。無事意識は戻ってきたみたいだ。それよりもこんなに慌てるジャーファルも珍しいなぁと思いながらも答える。

「これシンの思いつきなんだけど、なんでも西の大陸の方ではハロウィンって言って仮装したりする日だからって。
んで、ちょうど通りかかった私とピスティちゃんに白羽の矢が立ったわけだけど…
まぁピスティちゃんの服が着れたから良かったかなぁなんて」
「良くありません!!」


ピシャリと言い放ったジャーファルに私は口ごもる。


「やはりシンのせいですか。
全くあの人はろくな事をしないんですから」

「まぁシンだって楽しもうと…」

「大体ナマエもナマエです!!」


うわぁ。溜め息をつくジャーファルに声をかけたら矛先がこっちに向かってきた。
とんだとばっちりだ。
こんなことならシンなんか庇うんじゃなかった。
というか掴まれた手首にギュッと力を入れられ少々痛い。
もしかして…ジャーファル怒ってる…?


「ナマエは今自分がどんな格好をしてるか理解してますか?」


そこでようやくジャーファルの言わんとしている事を理解した。
ピスティちゃんの服は可愛いのだが、その、服の前の部分が開いている。
そりゃあヤムちゃんみたいに胸があるわけではないがそれなりにはあるわけで。
いや、別に見栄じゃないからね。断じて。

ピスティちゃんの服が着れる嬉しさで興奮して忘れていたが
ふと自分の格好を改めて見て、顔に熱が一気に集まるのがわかった。


「あ、私ピスティちゃんに服帰してくるね」


急いでその場から離れ着替えてこようとしたがさっきから掴まれてる手首をジャーファルが離してくれる気配がない。
ちょっとこれじゃあ着替えに行けないですよジャーファルさん。


「あの、ジャーファル?」

「そんな格好を見せられて、私がタダでナマエを帰すとでも?」


あ、ヤバい。
気持ちいいくらい満面の笑みを浮かべてるジャーファルに身の危険を感じた瞬間
掴まれたままの腕を引っ張られたと思ったらそのまま視界が暗転した。

視界に映るのは部屋の天井と笑顔を浮かべてるジャーファル。背中にはフカフカの感触。
これもしかしなくてもベッドに押し倒されてます?


「私だって男なんですからそんな格好見せられて欲情しないわけがないんですから」

「えっ、ちょっと、あのジャーファルさん…」

「さぁ、まだまだ夜は長いですよ」





そしてそのままジャーファルに美味しく頂かれました。





A.襲われました






後日。

「シン、ちょっといいですか」

「ん、なんだジャーファルってちょっ…ぎゃぁぁぁぁぁあ!!」





121028





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