神宮寺 レンくんの場合


「レンー!トリックオアトリート!」


私は愛しの彼氏様であるレンに向かって笑顔で言う。
勿論右手を突き出しながらというおまけ付きで。
そう、あの言葉からわかるように今日はハロウィンだ。
ハロウィンと言ったらお菓子を貰う日である。え、違う?

レンはいつも有名店の一流ブランドのお菓子をわざわざ取り寄せては私にくれる。
レン曰わくハニーの幸せな顔が見れるなら安いものさ。それだけで俺は幸せだよ、との事ですが。
正直聞いてるこっちが恥ずかしいくらいだけど無理して言ってる訳でもなくサラッと言える所が様になってるというかさすがレンっていうか…
そういう所がやっぱりかっこいいな、なんて思ってしまうあたりベタ惚れなんでしょうか。

あとはさすが神宮寺財閥のお坊ちゃんだと改めて思う。
いや、別にレンがお菓子くれるから好きとかそういう訳じゃないからね。そんな下心ないからね。

とにかくレンはお菓子をいつもくれるから今日もやはり期待していた訳で――
そしてやっぱりレンは期待を裏切らない。


「勿論、ハニーの為にちゃんと用意してるよ。今日はハロウィンだからね。そうくると思って…はい、なまえの好きなチョコレート」


すかさずレンが取り出したのはこれまた有名店のチョコレート。
このチョコはなかなか手に入らない事で有名なのにこうも容易く手に入れるとは。
しかもレンはチョコが苦手だったはずだ。
となればわざわざ私の為に用意してくれたんだろう。
レンの優しさと嬉しさで自然と顔が綻ぶ。


「うわぁぁ…ありがとう!じゃあ早速…」

「さて、ここでなまえに質問」

「え?」


レンの言葉によりチョコに伸ばしかけていた手が必然的に止まる。


「trick or treat――意味は『お菓子をくれなきゃイタズラするぞ』って言い換えればなまえはここで俺にお菓子を貰うか、それともお菓子を貰わずにイタズラをするか選択できる権利を持っているって事だけど、お菓子と俺、一体どちらを選ぶのかな?」


思ってもみない質問に驚いたけど、目の前には笑顔のレンがいて。


「それ、私の答えわかっててわざと聞いてるでしょ?」

「さぁ?ちゃんとなまえの口から言ってくれないとわからないよ」

「…レンって時々ズルいよね…」

「せめて策士だって言って欲しいね」


そんな質問、最初から答えなんて聞かなくてもわかってる癖に。




お菓子なんていらないから。
お菓子よりも甘い甘いあなたを頂戴?




「イタズラ、どうなっても知らないからね」

「なまえからの可愛いイタズラならいくらでも歓迎だよ」





A.イタズラに誘導されました





「じゃあベタに顔に肉とかの落書きでどう?」

「さすがにそれは勘弁してほしいな…」





策士レン





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