私の王子様は


Debutネタ含みます。




「翔ちゃんの意地悪!」

「何がだよ!?」


私は今翔ちゃんにムカついています。
お仕事が終わって久々に会えたのに素っ気ないとか理由は色々ありますが
1番の理由は…


「酷いです!私だけ除け者にするなんて!」

「いや、だから何の事かマジでわかんないから」


むぅぅ…翔ちゃんは本当に何のことかわかんないみたいです…
こうなったら、と私はボソッと最終手段の一言を口にした。


「翔ちゃんのアリス…」

「……はぁ!?」


翔ちゃんはその言葉に一瞬ピシッと固まった後目を見開いて驚く。

ちょっとうるさいから耳元で叫ばないで下さい翔ちゃん。


「お、お前なんで、それ知って…!?」

「なっちゃんに聞ききました、というよなっちゃんが嬉しそうに教えてくれましたよ。『翔ちゃんと〜っても可愛かったんですよ〜』って」


あの時のなっちゃんは本当に活き活きしながらアリス姿の翔ちゃんの写真を何枚も見せてくれて。
何でも事務所の人にお願いして翔ちゃんや藍先輩の写真を撮ってもらっていたらしい。
さすがなっちゃん抜かりない。恐るべし行動力。恐るべしなっちゃんパワー。
あ、勿論私も焼き増しして何枚か貰いました。
やっぱり持つべきものは友達ですね、うん。
いや、貰ったならいいじゃんと言うことではなくてですね…

私が怒っているのは自分だけ内緒にされた事ですよ。
教えてくれたっていいじゃないですか、一眼レフ持って撮影に行ったのに…


「いや、だから言わなかったんだよ」


不意の翔ちゃんの返事に今度は私が固まった。


「…え、もしかして今の口に出てました?」

「思いっ切りな」

「…………どこから?」

「私が怒っているのは、から」


セーーーーーフ!
危なかったです。
もし写真の下りから聞かれていたらアリスの翔ちゃんの写真もれなく全部処分させられるところでした。


「良かったです…」

「いや、良くねぇよ!!那月のヤロー勝手に喋りやがって」


ホッとしたのも束の間、翔ちゃんはぶつくさ文句を言っています。
なっちゃんの事シメるとか言っています。なっちゃんごめんなさい。
けどなっちゃんなら逆に翔ちゃんを抱きシメてしまいそうなので心配してません。
あれ、上手くないですか、知ってます。
それはともかく…


「何で私には教えてくれなかったんですか!?」

「そ、そんなん言える訳ねぇだろ!!女の格好した姿でなんて…」


翔ちゃん顔真っ赤です語尾段々小さくなってます可愛いです。

「翔ちゃんは可愛いので似合いますよ!!自信を持って下さい!!」

「持てるか!!というか、あのなぁ可愛いなんて言われても全然嬉しくねぇつうの」

「なんでですか。あんなに可愛いのに」

「ばーか、好きな奴の前ではいつでも格好良くいたいもんなんだよ」


そう言って少し照れくさそうにはにかむ笑顔は王子様みたいに格好良くて。



見惚れてしまいました。



なんて、悔しいので言ってあげませんが。







私の王子様は
(可愛いだけじゃないんです)




ちゃんと気づいていますよ。










121017





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