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「土方さん、いい加減にしてください!」

酒に酔った彼は、私を押し倒して馬乗りしていた。

なんなの!仕事で三日も寝てないと思えば総司追っかけ回して自分で仕事の時間削って倍疲れてるし。終わったって呟いたから寝るのかと思えばお酒弱い癖に呑んで酔ってるし!

しかも酔って女の上に乗っかるって……、どういうこと!

「うるせえ……黙ってろ」

「じゃあ退いてください!」

必死に彼の胸を押して退かそうとするけどびくともしない。これが男女の差ってやつ?不平等!

「土方さん!何?何がしたいんですかっ!」

「抱きてえ」

「は……、……は?」

何言ってるんだこの人は。私は今までで一番の間抜け面を晒したに違いない。そんな私を見て、土方さんは酔いの回った赤い顔でくつくつと笑う。くそう、色っぽい。流石、役者顔負けの色男と謳われただけはある。なんでこんな……かっこいいんだ!

「なあ……」

「は、はい!?」

しまった、声が裏返った。動揺してるのまるわかりだ。

「……好きだ」

「う……?す、」

好き、だと?いつも絶対こんなこと言わないのに。やばい今晩の土方さんは本気で危ない(いろいろと)。このままじゃ本当に襲われ兼ねない。いや、恋仲だから問題はないんだ、けど……!

「あの……寝ましょう土方さん?」

「あぁ?何でだよ、まだ抱いてねえ」

「いや、だからね、疲れてるじゃないですか。だからそれはまた今度、で」

「ほう……?俺に抱かれるのが嫌なのか」

「えっ?は?」

……そんなわけない。土方さんのことは私がこの世の誰よりも愛していて、もちろん大好きな人だから触れてもらいたい、触れたい。でも、私は新選組副局長補佐、だ。たくさん人を斬ってきて、たくさん傷も負ってきた。残った傷跡も多い。そんな綺麗じゃない体を、この人の、土方さんの前に晒したくない。彼が今まで抱いてきた女の人たちはきっと普通の人で、或いは遊女さんで。比べられるのなんかいやだ。本当はただ私が嫌なだけで土方さんは比べたりしないのだろうけれど。……綺麗じゃない体を見せるのがいや。見られるのがいや。

そう話すと、土方さんは馬鹿、と呟いてこつんと額をぶつけた。

「んなこと一々気にすんな……、お前が持ってる傷は今まで俺達の隣で生きてきた証だろ」

彼は私の大好きな強い瞳で、そう言ってくれた。

「土方、さん……」

「誇りに思え。お前は、すげえ女だ」

土方さんの言葉はすんなりと胸に落ちてきた。ああ、この人はこういう人だった。私を、受け止めて、受け入れてくれる人。

「お前に触れてえ……、抱きたい。いいか」

うん、と頷くと、土方さんは嬉しそうに笑って口付けしてくれた。


愛してください
(私が、信じた人)

10/06/01
一回別な話を書いたのですがデータがあぼーんしましてまた書き直すというハメに……頑張りました!でも話はがらりと変わってしまった。……拍手、ありがとうございました!



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