真昼の月(梢さま)


窓から少しだけ漏れている光に起こされて、目を開ける。
「ふわあ」
欠伸が漏れて、名残惜しいベッドの心地良さから這い出る。
むっくりと腕をついて起き上がるとその腕を奪われ、支えるものを失った体がベッドに逆戻りをした。犯人は分かってる。
そのまま暑苦しさに飲まれるように布団の中に引きずり込まれる。
「どこいくの」
抱き込まれて鼻同士が当たりそうな位置でクダリくんがじっとりとした目で睨んでくる。
「ど、どこって、朝ごはんとか」
「ぼく、今いらない」
私を抱く腕の力が増して、腰やそこらに手が回る。
どうにも眠そうな彼は、実際昨日は私の意識がほとんど飛び掛けていた深夜に帰ってきた。
私も眠いけど、疲れているはずのクダリくんの方はもっと眠いだろうなあと思う。
仕方ないなあ、という気持ちが出てくる。
「クダリくん……」
でも私も人のことは言えないが、そんな朝早くて夜遅いクダリくんが生活サイクル崩したら大変じゃないのか。
……。
ここは心を鬼にして。
「ご飯つくるから」
起き上がろうとする私の背中や腰を撫でる。ぞわっとして動きが止まる、その瞬間謀ったように抱き込まれ拘束される。
「やめ、くだ」
目尻にキスを落とされる、それから次々と顔中にキスが降ってくる。
「ぼく、あのね」
合間にちゅっちゅっと挟みながら言葉を紡がれる。
「ちゅ、今日ね、なまえと一緒に、ん、いられると思ってすごく頑張った、ちゅっ、ね?いいでしょ」
眠そうなクダリくんがとろんとした目で私の決意を水の泡にしようとしてくる。
というか事実、私はすでに鬼の仮面を脱ぎかけている。
私の身体を撫でてくるクダリくんの手に私もすっかり眠くなってくる。
あ、っついのになあ。
「もう」
少し笑ってしまっている私も大概だな、なんてクダリくんの背中に手を回す。
「だめ?」
「それを聞くのはかなり今更でしょ」
クダリくんはすやすやと私に身体を寄せるように抱きしめられる。
クダリくんの暖かさが私をやんわりと眠りに誘ってくる。
ああでもこんな久しぶりだなあ、ってクダリくんみたいにクダリくんの身体に引っ付いて私は眠りについた。

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おめでとうありがとうございます。
ベタベタの甘ということでひたすら物理的に引っ付いてもらいました^^
リクエストありがとうございました、梢さま。
これからも朝食をよろしくしてくだされば嬉しいです。



H25.08.11

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