seven


「なまえー何飲むー?」
「あ、うーん、任せる」
クダリくんが私に冷蔵庫を開けながら話しかけてくる。ノボリくんは上に行って、荷物を置いてきている。
「じゃあコーラね!」
どたどたと音が聞こえる。未だ、クダリくんと二人っきりというのをあまり許してくれないノボリくんだ。
こどもっぽくて、やきもち焼きのかわいいノボリくんだ。
「なまえ!」
降りてきた途端、私に抱き着いたノボリくんは私と自分の分のコップをクダリくんから受け取り渡してくる。
最近はほとんどノボリくんの家にお邪魔している。両親共に働きでているらしいノボリくんたちなので、一度として会ったことはない。
迷惑かなあ、ってのは結構思ってる。
ただ、両脇を双子に抱えられまるで捕獲された宇宙人のように家に連行されるのだ。
ノボリくんとしてはクダリくんさえいなければ、私の家に行きたいとしきりに言ってくるようにもなっていた。
別にいけないわけではないが、それを阻止するみたいにクダリくんが現れて断念するのが最近である。
「なんか最近本当に進路について考えないとなあって思うよね」
「……あー、そうだね」
私からあんまり話題を振らなくても話題製造機のようなクダリくんに私から振ってみる。
「ノボリくんは鉄道関係の専門学校、クダリ君は?」
「クダリも同じですよ」
「えへへ、僕とノボリ一緒!」
「そうなんだ、クダリくんもかあ」
「なまえは?」
……うーん。
「これといってしたいことないんだよねえ」
適当に投げていた視線に合わせるようにクダリくんが前に乗り出してくる。
「なまえいっそ同棲したら」
良いこと言った!と言わんばかりの表情で私を見てくるクダリくん。
「思考がまったくもってそっくりだね」
「残念ながらわたくしとしては結婚したいと思っております」
「ノボリ重い!」
クダリくんの言うとおりだなあ。
それでもそれでもいいかもなんて思ってるんだから私も質が悪い。
「どうでしょう、なまえ。わたくしと結婚してくださいまし」
「ちゃんと考えてからにしようよ」
私はそんな穀潰しにだけはなりたくない。
「え、待ってなまえも結構乗り気なの」
「そこそこね」
「なまえ!」
嬉しそうノボリくんは私を抱き寄せる。
「まあなんだろ、じゃあ挨拶とかくる?」
「行きます!行きます!」
「僕も行こっかな」
「クダリっ!」
「嘘だってー」
まあ、この後ノボリくんときっとそうやって結婚する。そうなればいいなあって夢見がちに思って、この話は終わることになる。
この後私達はいろいろな壁を乗り越えていくことになるなんて知る由もなかった。と伏線をはることにしておこう。まあ、本当に知らないけど。
H25.08.01

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