▼03
朝起きれば、ノボリさんはいなかった。
「……帰ったということか」
それとも私の夢か。夢オチね、いいんじゃない。そうだよゲーフリがくれた魔法とでも思っておけば全て丸く収まるわけだ。ピカピカの魔法ってね。
まあしかしならば、もう少しノボリさんの性的加減の観察をするべきだったと思うわけだ。睡魔のあほー。
ベッドをずっと観察しててもノボリさんは帰ってきそうにはないし、私は時間ギリギリ。さっ着替え着替え。
1日中なにもなく、予習のできてない授業で当てられたし、まあ普通平々凡々そこそこだった。だからノボリさんがいたよ、きゃー的な出来事から1日、今日が正しいのかもしれないが、とりあえず私があれから寝ようとした。
「……」
いる。なんでいる。
私がまたも課題を後回しにして自室にやってくると、ベッドでこれまたノボリさんが寝ていた。
「とんとん」
と何故か口に出して彼をつつく。
パチッと目を開けた彼は眉間に皺を寄せたのだ。
「また、ですか」
「またですね」
彼を起こす前に聞きたいことをまとめて準備はオーケーな私はわりと冷静だ。
そしてこれまた正座。私はこの前痺れたので少し崩している。
「えーとまあ、あなたはノボリさん。ポケモンは連れてない。ご職業は?」
「……サブウェイマスターをしております」
「あ、私は学生なんですけど」
そうですか、ああ逆トリみたいだktkrwktkなんてことらしい。
「えっとすみません、あれから帰れた、んですよね?」
「ええ」
「私も普通に1日過ごしました」
「1日?」
ノボリさんが怪訝そうな顔をした。えっ、うん?
「あ、あれから朝……昼が1回で今こんな感じですけど」
「そんなはずはございません!!っ……すみません」
いきなり怒鳴ったという大きな声を出したノボリさんが口を押さえる。家族が起きると面倒になるかもなんでとりあえず静かに話しましょうみたいな忠告を聞いてくれてるようだ。
「わたくしはあれから3日間働き、そして今日仮眠室でまた寝たのです。つまり1日なわけがありません」
時間まで違うなんてどういうことだよ。
な、なんかひっかかるなあ。3日と1日……か。
とりあえずノボリさんにこの世界とあなたの世界が違うことを話した。時間の流れから疑い半分ながらも納得してくれたようだ。まあキャパオーバーだろうから、適当に寝ようと言った。
朝彼が起きてなければ、そのときまた考えようと、つくづく私は未来の私を過信し過ぎている気がする。