▼レイニィ・レイニィ
久々のノボリさんのお休みの日にテレビを見ながら、どんな休日のお父さんだとツッコミをいれつつ私もノボリさんと休日を楽しんでいた。
「なんですって!」
いきなり立ち上がったノボリさんのせいで、気持ちよくノボリさんの膝の上で撫でられていた私はフローリングに落とされた。あいたたた。
「む、ぅう」
シャンデラさんが寄ってきて大丈夫かと聞いてくる。
「むう」
「でらしゃーん」
大丈夫だと答えればふわふわとどこかへ行ってしまう。
「シングルが……わかりました」
ノボリさんは険しい顔でライブキャスターを切った。
「なまえ、大丈夫でしたか」
「むう」
「良かった、申し訳ありません」
私を一撫ですると、ノボリさんはお出掛けの準備をする。
「むう?」
「しゃーん」
私とシャンデラさんも寄ってきたのを見て、ノボリさんが気づいたように口を開いた。
「なまえ、シャンデラ、すみませんがシングルで問題が起きたようです」
「む?」
ギギギアルさん達も気づいて近づいてくる。みんなをモンスターボールの中に入れていくノボリさん。私入りたくないんだけどなあ。
「なまえ、あなたは寝ているクダリに伝えてもらえますか?」
「むう?」
コレをと走り書きしたメモを渡される。
「むう!!」
置いて行かれるのか!と抗議をすると、笑ったノボリさんが「頼みましたよ」なんて言って出て行ってしまった。
任せろとでも言っているとでも思ったのかな。むすーとしながら部屋を見る。
さっきまで寝ていたオノノクスさんもシャンデラさんもいなくて、聞こえるのはテレビのキャスターの声だけだった。
「むう」
しばらく、ふわふわと浮いたり、ノボリさんの洗ってあったお皿を片づけたりしながら、ソファーに体を預ける。
目を擦りながら出てきたクダリさんが私は捕まる。
「なまえーおはよー」
「むー!」
「えへへー、あれ?ノボリは?」
「む」
渡されたメモを渡せば、ふーんと漏らしたクダリさん。
「ダブルは大丈夫みたいだね」
「むー」
「ふーん、へー」
「む?」
「お昼には帰ってくるってー」
にこにこと笑うクダリさんが窓の外を見る。釣られるように窓を見たら、雨が降っていた。雨粒が窓に当たってぽつぽつと音が鳴っている。
ノボリさんの仕事場では見ることのできない空も今日は同じくらい灰色で、でも少しやっぱり懐かしい感じがする。
人間のときも空を見る機会もあんまりなかったなあって、窓に体を押し付けて外を見る。
「なまえ」
「むう?」
「ノボリに傘届けてきてくれない?」
あ、確かに持って行ってなかった。
「むう」
「ボクご飯作って待ってるからね」
「むー」
私に傘を渡してきたクダリさんは「いってらっしゃーい」と私を送り出した。
ギアステーションのところに困ったように立ちつくすノボリさんを見つける。
「むー!」
「なまえじゃないですか、どうして」
「むー」
持っていた傘を見せつけるように私は突き出す。
「持ってきてくれたんですか」
褒めるように撫でたノボリさんが濡れた頭をタオルで拭いてくれる。
「むう」
「これで、大丈夫ですかね」
傘を開いたノボリさんが傘を傾けて私を見る。
「行きますよ?」
相合傘ってのは女の子にした方がいいと思うんですけど。そんなことを内心思いながらノボリさんの傘に入った。
「それにしても、クダリもおかしいですね」
「む?」
「ギアステーションにだって傘はあるのに」
「むう!!」
確かに、駅なんだから売ってるだろうし、予備があってもおかしくない。
「まあ、いいですね。こういうのも」
そう微笑むノボリさんに私もまあいっかと笑うことにした。
「むー、む」
「なまえ?」
「むー」
雨の日はこんなにも楽しかったのだろうか。くるくると回る私を笑うノボリさんに小突くように体当たりをする。ぽつぽつと傘に当たる雨粒の音を聞きながら、私たちは家路に着いた。
「おかえりー」
クダリさんが迎え入れてくれた家の奥からはいい匂いが漂っている。
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ナツキ様、リクエストありがとうございました^^
わー拍手までしてくださってありがとうございます!!
みちづれは名前変換少なくってサイトとしてどうなんだっていう感じだったのでとても嬉しかったです。
ほのぼのできてればいいのですが(-_-;)
日常ものは一度書いてみたいなーと思っていたので、すごく楽しかったです!
H25.03.20