零れる右目


※クダリさんが目を舐めてきます。
苦手な方はバックしてください。




「歯磨きオッケー、うがいもオッケー」
確かに白くて、まるで俳優みたいに綺麗な歯を見せて、ニッと笑ったクダリ。
私は少しだけ逃げたくなった。
事の始まりは簡単だ。
クダリから付き合って一年だね!!って言われて、そうだねって答えたら、特別なことしよって言われた。
何をするのかまったく言わずに、そして私も聞くのを忘れて「いいよ」なんて答えたせいだ。
クダリはある意味一般人と外れてる部分があるから、ノリで答えた私を今は殴りたいとさえ思うのは仕方ない。
逃げるコマンドを選べないのは、クダリがくろいまなざしでもつかってるんだろうか。
「ねえ、なまえ」
私をそっとベットの上に押し倒したクダリはそのまま私の頭を挟むように手をつく。あ、とおせんぼですか。
「ボクもう準備オッケー。なまえは?」
「いや何するつもりなの」
「うん?」
なんでそんなこと聞くの?みたいな顔をされた。
「分からないの?」
「う、うん」
クダリは私にそっと笑うと顔を近づけてきた。あ、キスか、なんて思って私も目を瞑ったら右目にぬるい感触。
「なまえってまつげ長いね」
「く、くだ」
「ん、もー目開けて」
「え、ちょっ」
た、多分私の目蓋のうえをぬるりと這うこれはクダリの舌、だ。目蓋をれろれろと右左へと這っている。ちゅっと音がする。
「怖い?」
ふふと笑うクダリの息が私の固く閉じられた目蓋に掛かる。くすぐったさに身をよじれば、逃げるとでも思ったのか体を重ねるように乗っかってきた。
「ね、力抜いて」
まつげと目蓋をよけるように目頭から入ってきた舌のあたたかさに体が固まってしまう。
「な、なに……」
「イイコ」
生暖かくて、柔らかくてその感触がよくわからなくなってくる。
生理的な涙がなめられてない方の目からこぼれていく。
「う、あ」
口が開いたまま、声が漏れる。
ちゅぷ、ちゅ、くち。卑猥な水音も涙が出ていく片目から見える、クダリのぎらぎらとした目も潤んで曖昧になっていく。
じゅる、と私の舐められている方の目の上にたまった涙も吸い取って、クダリの舌が何度も目尻と目頭を行き来する。
「ふ、はあ……くだあ、りぃ」
「なまえかわいい」
「は、う」
どうしようもなくて私は体を硬直させたままで何もできない。多分、何時間も経ってないだろうけど二、三時間はされてる気にさえなる。生暖かくて、ぞくぞくして、どうしようもなくなって私は意識も朦朧としていた。
好きなだけで人の目を舐め回して、最後にちゅとキスをして、溢れた涙を何度も舐めとったクダリに抱き起こされた。
「ごちそうさま!」
ぐったりとした私は力無く責めるクダリを見る。
「……お粗末様でした」
そんな私の方を満面の笑みで見てきたクダリの視線が私の舐められてない方の目に向けられる。
じっと見ていたクダリが、また熱を帯びてきているような気がして逃げたい。とおせんぼの効果はまだきれないらしく、私の体は動かないみたいだ。
「おかわりしていい!?」
13.01.27

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