今日は音楽のテストだ。前に出て一人ずつ歌を歌うのだという。先週の授業で先生がそう告げた時には音楽室中から不満の声が上がった。その中でも私と煉獄君は、特に不満も告げずに静かに他の生徒の声を聞いていた。煉獄君とは3年になって初めて同じクラスになったからまだ歌を聞いたことがない。文化祭の合唱はどうだったかな?あまり印象にないけど、煉獄君は満更でもない顔をしていたので合唱に自信があると見える。私は合唱部だから歌うのに抵抗はない。教室で二人だけ違う世界にいるみたいでなんだか運命を感じたり。なーんて漫画みたいな事を考えたくらいだ。それに、今日のテストで煉獄君の歌が良ければ合唱部の助っ人をお願いできるかもしれない。なんせ、男子部員が少ない弱小合唱部なのだから。

「次は煉獄」
「はい!」
「元気なのはいいが……程々に頼むな」

音楽は1時間目。皆まだ声があまり出ていない中、煉獄君は気合いが溢れているような大きな声で返事をしていた。先生の言葉が意味深でちょっと気になったけど、大声を出しすぎないようにって事だろう。いやあ、これは良いんじゃないか。先生が忠告するくらい煉獄君は声も大きいみたいだし、きっと合唱でも大活躍してくれることだろう。私は大いなる期待していた。あの歌声、否、騒音を聞くまでは。


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