アルミでできたチューブから、ぷくりと薄黄色の液体を手の甲へ乗せる。出した途端、鼻につく香り。初めて嗅いだ時はハッキリ好きではないと思ったのに。慣れてしまえばいい香りにすら思えている。たっぷり親指の爪くらい出してから、少量でもたっぷり伸びますよ!と、勧めてくれた店員の言葉を思い出したがもう遅かった。なんど両手を捏ねたところでいつまでもみずみずしいままだ。だからといって拭き取るのは勿体ない。ソファの向こうへ声を掛けた。

「ん?」

覗く顔を呼び込むようにひらひら手を振ればまるで犬のように、呼ばれた事になんの疑いもせずやってきた。少し長い後ろの毛が尻尾のように揺れていたから、なおさら犬のようだった。

「お裾分け」
「なんのだ?」
「これ」

目の前にあった無骨な手を掴んだ。ほんのりと温かい。手に有り余るそれが彼に移り、香り立った。それから恋人がするように指と指を絡ませたり、マッサージのように揉んでみたり。されるがまま、彼の手はつやつやと潤いを取り戻した。

「ハンドクリームのお裾分け」


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