「ここに生クリーム入れたらいいの?」
「そうそう、ゆっくり混ぜながら入れてって」
「怖い!こぼしそう!」
「ゆっくりやれば大丈夫だから落ち着いて。ほら、ここは僕が持つからすず乃ちゃんが混ぜてね」
「ありがと!頑張る!」
「あせると失敗するから、ゆっくりゆっくりね」

キッチンへ繋がるドアから、弟と聞き覚えのある女子の声がした。入ろうと思った矢先に聞こえたチョコの言葉にドアノブを捻ろうとした手を止めた。
チョコレート。バレンタインが明日に迫っているのだから単純に考えてこれは彼女が誰かしら男子へあげる物を作っているのだろう。いったい誰に?趣味が悪いと思いながらも会話を聞いていれば。

「でも早く作らないと、杏寿郎さんが帰ってきちゃう!明日まで内緒にしたいのに!」

その相手は自分だというのだから驚いた。好きなのは自分だけだと思っていたのに。


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