煉獄は大きな声を出して泣いている隊士よりも、もっと大きな声で慰めととれる言葉を告げた。そして、彼の努力と才能が詰まった、体のわりには大きくない掌で、震えている肩を力強く抱いた。私はそれを、切られた額から流れる血が、目の横を通り口にたどり着くまでじっと見つめていた。
まるで涙のように流れていた血が綺麗に拭われた時、煉獄はやっと私の元にやってきた。眉をひそめていた。わたしが想像していた再会の表情とは大分違っていた。

「痛々しいな」

包帯の上から額を触るその仕草は、指先で野良猫の様子を探るのと同じだと思った。先程の光景を思い出す。私がここで泣いていれば、煉獄は肩を抱いてくれただろうか。起き上がれないくらいの怪我をしていたら、体ごと抱き締めてくれただろうか。生きて煉獄に会えたことを喜ぶべきなのに、私はとても不謹慎だ。


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