放課後に遊ぶ場所は圧倒的に数が多いのはカラオケで。何の気なしに隣の席の煉獄に「煉獄ってカラオケ行くとなに歌うの?」と聞いてみれば彼にしては小さな声で「行ったことがない」と言われた。あまりの驚きに声をあげてしまい、先生から小言が飛んできた。そうだ、今は授業中だった。
授業のあと、煉獄をカラオケに連れていく会を発足した。会員は私と煉獄の二人だ。急ではあったが、たまたま煉獄の部活が休みの今日、私たちの記念すべき一回目の会合が開催されることとなった。

「ねえ煉獄」
「なんだ?」

物珍しげにカラオケ店の室内を物色する煉獄は、家にやって来たばかりの猫のようだ。奥のソファに座るよう言うと、すんなりそこに収まった。聞き分けは猫より良さそうだ。

「本当に一回も来たことないの?」
「ああ!普段は部活ばかりだからそもそも遊びに行くことがあまりないな」
「家族で来たりもしないの?」
「うむ!父はこういう場所が苦手なようだ」
「へえ。珍しいね」
「だから放課後を楽しみにしていた」
「カラオケでこんな喜んでくれるならいつでも付き合うよ。はい、マイク」
「ありがとう!マイクを使うとなんだか緊張するな!」
「ちょ、声でかいな!てか、喋る時にマイク使わなくていいから!」
「そうか、マイクは歌う時だけだな!」
「だから!マイク放せ!うるさい!」
「すまない!!」
「うわ、地声もうるさいんだった」

大声で耳がキーンとする。カラオケに連れてきたのは失敗だったかと一瞬頭に過ったが、マイクをつけたり消したり、まるで子供のような姿にやっぱり連れてきて良かったと思った。この時は。

「ちょ、待って待って!本当にうるさい!マイク!」
「カラオケっていうのは楽しいな!」
「マジうるさすぎて耳おかしくなるわ!」

決して目覚めさせてはならない獅子を起こしてしまったようだ。


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