Case@諒一


「髪、伸びたな」
諒一の一言に玲華はブチ切れた。
「冗談じゃないわよ!」
何気ない言葉に玲華はすごい剣幕で諒一を睨んだ。
「どこが伸びたって言うのよ!?先週切ったばかりなのよ!?意味わかんないんだけど。そうやって小さなところ気付くんだぜ俺、みたいな恩着せがましいモテない男がやるような手口で呼び止めるのもダサいのよ!!」
一気にまくし立てる玲華を、諒一はポーカーフェイスを崩さずじっと見ていた。まるで第三者的な眼差しだ。
それが再び玲華の逆鱗に触れた。
「じっと見てんじゃないわよ!」
「いや…俺はお前に会うの半年ぶりだからな、そりゃ半年前に比べれば俺が伸びた感じに受けても仕方ないだろ」
冷静に語る諒一に、玲華は尚 罵声を浴びせる。
「…ほら、この辺…この襟足、前は首の付け根より上だったろ」
玲華の言葉を無視して、諒一は玲華のうなじにかかる髪をかきあげた。
「今は鎖骨にかかってる…」
諒一の手は玲華の細い鎖骨をなぞった。
「やめて」
その手を叩き、玲華は諒一に中指を立てて踵を返した。
「くたばれ包茎!」

捨て台詞を残して小さくなる玲華の背中に、
「…いつ包茎になったんだ?俺は」
と諒一は笑った。

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