蝉と自身


じりじりじりじりじりじりじりじり


蝉の発音器官。

ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ


雄しか鳴かない。
雌を呼び寄せるために鳴くらしい。
何で雌は鳴かないんだろう。


じりじりじりじりじりじりじりじり


汗ばむ首筋に伝う浅黒い指。


「雄は腹の中が空っぽだから鳴くんだよ」

生物学者とは思えないごつい体と浅黒い指。日雇いの仕事をしてるって言ったほうが合ってる。

「ふうん。…じゃあ雌は空っぽじゃないんだ」

指はつつつ、と胸を這い背中に回る。

「雌はお腹に卵があるだろ」

「不貞」

くくっと笑う。

「何が」

「空っぽの雄と卵持ちの雌?似てるようで似てないね」

「何の話だよ」

背中に回された指はもう片方と合致し抱きすくめられる。汗ばむ肌がくっついて気持ち悪かった。

「雌のほうが大きいから、鳴かないっていうのも考えられるけど」

「でかい女?」

「大きいと敵に捕食されやすいだろ。それならわざわざ危険を冒さなくても鳴いてくれる雄のところへ雌は飛び込めばいいだけだからな」

「…なんか、…すっげえ俺らっ、ぽい」

ぴくりと体を反らせる。

「俺ら…?」

「結局、女って得だね。世界が滅亡しても、メスとゴキブリは生きてそうな気がする」

荒くなる呼吸に合わせて、気持ちの悪い汗が滲んでくる。じっとりと。

「いや、それは無理だな。世界が滅亡し…」

講義を続けようとする生物学者の唇を粘膜で塞ぎ舌をねじり込ませる。



暑い。

窓から入ってくる耳障りな音。

ねっとりと包む空気と汗ばむ肌。



じりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじり







『蝉と自身』・・・非生産的な俺らよりマシ、か。




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ひとりナツアカ祭り開催中。

ヤバい。
なんぞこれ。

BPHの一コマです。

てゆーか頭がイカレすぎて。。。すいません。

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