救いの言葉


あなたの声はいつだってやさしい。

私はいつもあなたの声に安らぎを感じる。

すべてを包み込むような、その、声・・・



神流(コウル)に初めて出会ったとき、こんな世の中に、こんなやさしい声があったのかって、感心したんだよ。

握手した手も、かけられた言葉も受けた待遇も、もちろんあたたかかったけど、それより、私は神流のその声にずっと感動したの。

「がんばろうね」


**

壱鷺(イサギ)が私たちを裏切って消えたときも、神流だけはやさしかった。

その時はきっと上辺だけだって思ってたけど、ずっと後になってそれは違うんだってわかった。

他の仲間からの冷たい視線が徐々に緩和されていっても、生まれた小さな亀裂は修復できなくて、私は孤独だった。

わかってたことだけど、自業自得なんだけど、私はまたここでも天涯孤独になった。そう感じた。

でも

そんなときでも、神流れは変わらず私にやさしかった。

「壱鷺にもきっと何かがあったんだよ、弟を、信じてあげて、ね」

冷たかった私の心に、神流の言葉が侵食していく。

じわりじわりと、熱くて、痛くて、



**

神流のために、弟の罪を償うために私は核奪還に意気込んだ。

それも失敗に終わって、結局私はみんなの、神流のお荷物だった。

ぬぐいようのない、私の才能な無さ・・・


「また、頑張ろうな」

また・・・?

まだ私を捨てないでいてくれるの?

私はまだ孤独じゃないの?

神流の大きな言葉

私にはもったいないような気がする・・・



**

ずっと神流の片腕だった癸成(ミズナリ)が消えて、仲間は神流に対しての不信感を大きくしていた。

どうして?

神流は失敗や罪を咎めたりなんかしない。

その人を否定なんかしない。

やめて

神流のこと、悪く言わないで・・・!




そんな中、神流は、誰も責めなかった。

身を引く神流の背中。

行かないで

神流・・・!



「雛莉(ヒナリ)は、ここにいていいんだよ。一緒にいこ」

仲間に止められたけど、神流のいないこの輪に、私はつながれない。つながってはいけない。自尊心や驕りじゃなくて、私は「役立たず」だから

みんなの役にはきっと立てないから









「神流!」

切れた息をゆっくり整えながら、私は追いついた神流に笑った。

「どうして・・・」

神流は意外そうな顔をしたね。

「私、神流と一緒に行くわ。私は神流のやり方、間違って無いと思う。それに、私にだって負い目はあるから…」

半分はほんと。半分は、大義名分。



あなたのそばにいたいの

あたたと一緒じゃなきゃ、私は孤独

「…いいの?」

って神流が聞かないで。

私が神流のそばにいたいだけなんだから

「お相子だよ。がんばろうね。2人でやっていこ」

なんて、かっこつけてみたけど、神流、あなたにいつもかけてもらっていたやさしい、あたたかい言葉、ここで使ってもいいかな?

おあいこ、なんて思ってないのよ

本当に、あなたと、あなたのやさしい言葉に救われた私だから、底にいた私を引っ張り上げてくれたあなただから、絶対、ひとりにしないから

あなたに、ついていきたいから。










『救いの言葉』・・・あなたの声で、私は頑張れる。


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赤ショートです。
神流×雛莉 の王道です(と作者が思ってるだけですかそうですか)
後半のセリフは本編第二部48pとリンクしてます。
まぁあれですよ、BGMは絢香のWhyですよ。
某ゲームやりすぎですよ。
某ゲームは好きすぎて書けません(笑)
って何某ゲームの話を・・・ry

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