死ね。
 そうやって一つ刺して。

 消えろ。
 そうやって二つ目を刺して。

 なんで生きてるの?
 そうやって三つ目を刺して。

 ねえ、どうして私はここにいる?
 自分に問いかけたって答えは帰ってこなくて。

 標本に捕らえられた蝶みたいに四肢を留められた私は、どこにも行けずにここにいる。

「愛してるんです…とても」

 愛してほしい。私のことを見てほしい。だけど私が好きになったのは、誰にも見向きしない冷たい残酷な彼。

「愛してる、大好き…」

 写真に何度伝えたところで、答えなんか返ってこないのに。

 標本の蝶ならば、まだ彼に見てもらえたのかしら。美しい羽を打たれた私ならば。
 醜い羽さえも、もう剥がれ落ちてしまったけれど。

「どうして、私は」

 最大の矛盾は、私がここにあることだと。そうとしか思えなかった。