moonlight and hazelnut

*ドラハー

「あなたの髪って、とっても綺麗な色をしているのね。まるで月の光が降りそそいだみたいよ」
 ハーマイオニーの指がさらりとプラチナブロンドの髪を梳く。そのお返しとばかりに、ドラコは彼女の肩にかかる髪を一筋すくいとった。
「君の髪の色は、さしずめヘーゼルナッツといったところかな?」
 波打つ髪のひと束に唇を落とす。ごくありふれた髪の色さえ、恋に落ちた青年の瞳にはまるで至高のもののように映る。
「ハーマイオニー、君は綺麗だよ。この世界の誰よりも。僕自身よりも」
「それは言い過ぎよ。だって、夜空に輝く月と、地面に落ちている栗とでは、到底比べものにならないじゃない?」
 いいからもう、黙って。
 ドラコの囁きに、利口な彼女はうっすらと笑んで頷く。開け放たれた窓から静かに降りそそぐ月光を、心ゆくまで浴びながら、何度目とも知れないキスを交わした。
 夜空に浮かぶ月だけが見ている。誰もが寝静まった夜、恋人達が過ごす秘密の時間。
「髪の毛の一筋さえ、君は僕のものだ。──絶対に、誰にも渡さないよ」


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(2015.11.17)

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