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攻略本


 駅前の本屋で偶然、あの少し丸まった背を見かけた。背後から忍び寄って声もかけずに肩を叩くと、びくうと大袈裟に揺れたものだからこちらが驚いた。
「なんだ、フクナガか。驚かすなよ」
 そう言って読んでいた本をさり気なく背後に隠す奴は、どことなくきまり悪そうな様子。
「何読んでたんだよ」
「……別に」
「いかがわしい本か?まさかアキヤマがそんなの読むなんてなあ」
 さすがのポーカーフェイスも危う気になってきた。
「そんなんじゃない」
「へえ。じゃ何の本だよ」
 一瞬躊躇った様子だったが、小さくため息をついて奴は隠していた本を差し出した。
「……心理学の分野は網羅したと思ってたけどさ、俺にも理解できてない分野があるんだよ」
 目を合わせられない奴の様子がおかしくてたまらなかった。
「カンザキナオ攻略本、だな」
「おい、何で彼女が出てくる」
「バレバレなんだよ」





end.


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