最高最低天災凡才

金剛阿含はその女が嫌いであった。
飾りっ気のない制服。
化粧すらしない顔。
髪の毛はボサボサのショートヘア。
頭は悪くて、運動もできない。
唯一まともにできるのは美術ぐらい。
そんなダメ人間。
嫌いで嫌いで大嫌いで、見るだけで不快。
話しかけられれば舌打ちをして避けた。

ある日、男に石を投げられて頭にクリーンヒット。
血をだらだら垂らしながらも阿含は自身を傷付けた男を半殺しにした。そうすると、なんと女は阿含にハンカチを差し出した。
阿含はそのハンカチを遠くに投げ捨てた。
そして女はせめて消毒をして手当をしようと袋を取り出したところで、阿含はそれを引っ掴みまた投げ捨てた。
女は何も言わずに袋を探しに行った。

阿含は女が大嫌いだった。

犬みたいに誰にでも尻尾を振ってちょろちょろと動き回る、あの同じクラスだった女が嫌いだった。
傷付いた時に心配してくる優しいあの女が嫌いだった。
人の好意に素直になれない自分はどうだったのだろう。
最後まで阿含自身が素直になれなかったせいで、雲水の元へといってしまったあの女が嫌いだった。


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