教室に行くと、俺とアイツの周りにクラスの奴が集まる。
いつも通り席に座って、ソイツらと話す。
暇だ。つい先程まではそんな事を感じなかったのに。
最近発売されたゲームの話、今流行りの漫画の話。
どんなに世間一般でいうところの面白い話だとしても、俺は登校中の、何も考えないで話す下らない時間のほうが楽しかった気がした。
アイツの方をチラリと見ると、つまらなさそうに頬杖をついて、あくびをしていた。
そんなアイツを見て、小さくため息を吐く。
どうして、こんな気持ち悪いモヤモヤが胸の中をぐるぐるとまわり、俺を嘲笑うように蔓延っているのか。
しかし、感情の名前の検討は大体ついていた。
けれど、納得はいかなかった。
なんでアイツなんかに。なんで俺が。いつから。
モヤモヤと気分が悪い中に更に疑問がでてくると、とうとう俺は思考がショートしてしまった。
これを考えている時だけ、何故か異様に疲れるのだ。
舌打ちをして立ち上がると、周りはなんだなんだと俺を見てくる。
アイツはぼうっとした目で俺を眺めた。

「サボる」

教室が静まり返ったとき、アイツはガタンと立ち上がった。
俺の前までずんずん歩いてくる。
あ、コイツ説教でもすんのか、と思いじろじろ見ながらニヤリと笑うと、コイツはニッと笑った。

「金剛はやっぱその方が似合う!」

そう言ってバシバシ背中を叩いて笑う。
ポカーンと驚いていると、クラスの奴らはコイツみたいに笑い出す。

「みょうじ、何言ってるんだよー」
「まあそうかもしれないけどさあ!」

教室がまた騒がしくなっていった。
なんだか取り残されたような気がして、頭をガリガリ掻くと、アイツはいってらっしゃい!とニコニコ笑った。
コイツをじっと見ると、「あれ、行かないの」コイツは馬鹿みたいに首を傾げる。
行く、と一言言って、コイツを担いだ。俵担ぎだ。
コイツのスカートなんざ知るか。
俺はみょうじなまえを拉致した。



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