満天の星空。
こんな夜は思い出してしまう。
(わたしがこっちにきたときみたい、)
こんな空に誘われてきたんだっけ??
昔のことじゃないのに、ほんの少し、忘れちゃったのかな。
「あっちよりも、綺麗……」
やっぱり空気が綺麗だからなのかはっきりと見える気がした。でも、
「やっぱりときどき恋しくなるなぁ」
星の見えない夜空でも、わたしがずっと好きな空だった。
城のみんなは優しいけれど、お母さんたちに会いたくなってしまう。
枕元に置いてあった携帯と、わたしがくるときに着ていた服をそっと抱きしめる。いまは、これだけがわたしがあっちの人間だっていう証拠。
「おかあさん…おとうさん…もう会えないのかなぁ」
忘れろだなんて無理だよ。
だってずっと育ってきた時代なの。
袖がいつの間にか濡れていた。
ああ泣いているんだ、わたし。
やだなぁ、こんなの
元就さんと一緒にいれて、うれしいはずなのに。
「おい、入るぞ……………っ、本当に泣いておるのか…」
「!、も、もも元就さん!?
なんでこんなところにいらっしゃるんですか!?」
「ここは我の城ぞ。どこにいようと我の勝手だ」
いやあでもこんな夜中に女の子の部屋に来るっていうのはどうなんですかね。
ああ恥ずかしい、泣いているところ見られちゃった。泣き顔なんて崩れててみれるもんじゃないってわかっているのに。
わたしの座っている横に、元就さんも腰掛けて同じように夜空を見る。
「元の場所が恋しくなったのか、」
「………そうです。普段は楽しいことばかりだけどこんな夜空にひとりだと、思い出しちゃいます」
「…ああ、貴様がきたのもこんな夜だったな」
「あ、覚えててくれたんですか??」
「ふん、あんな馬鹿みたいな現れ方、忘れられんわ」
「元就さんひどい……!!」
なんてね。
抱きしめていた服を身から離す。
もう、大丈夫みたいだ。
「元就さんありがとうございます」
「礼を言われるまでもない。……日輪が出ていないからそんな風に思うのだ。日輪があれば不安なぞ吹き飛ぶだろう。」
「そうですね。お日さまはあったかいから、………まだ日の出まで時間ありますけれど」
今日はもう眠れなそうだけど、横になろうかな。空をひとりで見てるよりはマシなはず。元就さんも寝れないし
「元就さん、わたしもう大丈夫です」
「嘘だろう??」
「え??」
「我を誰だと思っている??
日輪の申し子、毛利元就だ。駒のことぐらいわかっておる。どうせ我ももう眠れまい、日輪がでるまで、代わりにここにいてやろう。」
「……、ありが、とうございます」
「ああ」
ああ顔が熱い。
そんな風に笑わないで(優しすぎるよ)
赤い顔を見られないように、また空を見上げた。
忘れるなんて嫌だったから
(元の世界のぬくもり、やっぱり捨てられないの)(でもあなたが隣にいれくれたらもう平気、)
(p)△( n)
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