零崎人識が並盛中学生になって一週間、どうやらこいつは意外と勉強ができるらしくぼくは人知れず驚いた。ちなみに余談だけど今この学校で一番頭がいいのは獄寺くんのようだ。いつもテストで100点以外をとっているところを見たことがない。ぼくも一回やっている内容のはずなのに、お得意の記憶力の悪さでまったく覚えていない。今度勉強を教えてよ、と獄寺くんに言ったら驚いたあとに慌てて了承してくれた。そのあと綱吉くんと山本くんが「よかったね!」と声をかけていた意味がわからない。あとなんで君はそんなに拗ねてたんだひとしきくん。
ちなみに本来この学校で一番頭が良いであろうミオちゃんはテストが簡単すぎてわざと77点を狙うとか、平均点を予想してその点数を狙うとかしているから順位は低いらしい。ひとしきくんも来たことだから「今度は本気で一位狙う、100点以上をとるよ」と宣言されたけれど一体100点以上というのはどうやってとるものなのか。さすが天才、考え方が違うのか。ぼくにはわからない。
とりあえず次のテストの一位に三人の名前が並ぶのか、どうなるのか楽しみだってのは戯言になるのかな?


昼休み、いつもの三人にリボーンくんがいてさらに、ぼくたち三人も加えてもらってお昼ごはんをとるのが最近の日課だ。京子ちゃんたちには申し訳ないけれど「いいのいいの、獄寺くんも零崎くんもいるんでしょう?行ってきて!」「そのほうが私たちも楽しいのよ」と笑って送り出してくれた。とってもいい子たちだ。
今日は念願の「そうめんパン」をお昼に食べている。丸くなってお昼ごはんを食べるなんて前世じゃ考えられなかったなあ。だってこの年のときぼくは――玖渚友を壊して――アメリカに渡っていたんだから。今日も青いぼくのストラップを見て思う、玖渚友に会いたいなあなんて。戯言か。
綱吉くんはお弁当箱をはじめとして黄色やオレンジ、獄寺くんはシルバーアクセが多くて山本くんは黒とか緑とか。リボーンくんはもちろん黒なんだろう、ミオちゃんは白ときっとぼくと同じ理由で青い持ち物が多くて、人識くんは迷彩とか赤とか。それぞれを表している色がやっばり多くて面白い。


「………あ」
「どーしたミオ」
「んーとねえ……言っていいのかなあこれ」

リボーンくんを膝にのせて、お母さんが作ってくれたというお弁当を一緒に食べていたミオちゃんは携帯を見ていきなり声をあげた。みんなしてそちらを注目したけれど、ミオちゃんは「うーん」と唸っているだけだ。
チラッとこちらを見て、ひとしきくんも見てそれから綱吉くんをリボーンくんを見たあと「びっくりしないでね?」と前置きをする。


「いま届いた情報によると……つーくんの暗殺依頼が出てました!」
「へーそう………って!えぇえええ!?なにそれ、サラッと言わないでよそういうこと!!」
「ナイスツッコミです十代目!」
「ありがとう……じゃないからぁああ!」
「でもぼくからするとまだまだかな。志人くんを超えてみせてよ」
「誰!?」


重い宣告もあっという間に悪ふざけ。ボンゴレに協力すると決めたらしいミオちゃんからの情報もかすませてしまう。
事態を分かっていないのか山本くんなんて「おー!暗殺まであるってまたマフィアごっこって本格的だよな!」とニカっとぼくに笑った。…………。


「落ち着けダメツナ。くるとわかっていたらいくらでも対策は練れるんだぞ。それにしてもミオ、よくやったぞ」
「えへへー!本気になればネットワークのあるところでぼくたち「9人とひとり」に勝てる人間なんていないんだよう。つーくんといろはちゃんのためにぼくは働きだしたってわけ!」
「それで情報屋ちゃん、どーせ誰がくるとかいつとか分かってんだろ?」
「もちろん。知りたいー?」
「そこでぼくに振らないでよ。ぼくだって友達が死ぬのはほっとけないさ」
「いろはちゃん………!」
「……じゃあ言うよ?――シンファジスタファミリーからイタリアの首都ローマにある一画より○月×日午前2時33分《殺し屋》に依頼。《殺し屋》はそれを受理、日本に向かっているところ。到着予定日時間場所は……今日の、いまから1分23秒後の並盛中学校屋上」
「!! はあぁあああ!?」


一気に屋上に緊張感が走った。1分23秒後ってもうすぐじゃん。ひとしきくんなんて「なあなあっいろはちゃん、殺していーかそいつ?」とか言ってナイフまで取り出している。そんななかリボーンくんが冷静に尋ねる。


「それでミオ、どんな奴だ?」
「んー?ぼくは言ったじゃんかリボちゃん。《殺し屋》って。……ってああそうか、《いま》はこれじゃ通じないんだっけ」


苦笑したミオちゃんがお弁当を食べるのに使っていたフォーク取り出した。そして――ぼくの後ろに向かって投げた。


「ジャスト1分23秒、お出ましだよ。気をつけてね、いろはちゃん」


「――ぎゃ、はははははは!!!みなさんお揃いってやつぅうう?!」



声が聞こえた、それはぼくの悪い記憶力でも忘れない、あの日消えていった。《殺し屋》だって情報屋は最初から伝えてきた。なんで気づかなかった?ぼくに向けて言ってたのに!ああ耳が痛い、頭が痛い、あの日《ぼく》の目の前でふたり死んでいったね。《ぼく》の前で2回死んで、またぼくのところへ現れてくれたのか――出夢くん?











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