「は?ニンジンがまた値上がり?ふざけんじゃないわよ。ここの八百屋のオヤジこの間若い女とレンタカーのポルシェでむむまっふぁしてたくせに。一般人の私達はこうやって引き下がって生きていくしかないの?否、まだ手段があるはずよ」
八百屋の親父は気前よくニンジンを袋いっぱいに詰めてくれた。頼むから妻には言わないでくれと泣きついてきた。私には何のことかよく分からなかったがオヤジがあまりにきもかったので、ぶっとばしておいた。
ぐー。腹の虫が盛大になった。通りすがりのチャラ男が私を鼻で笑ったので、こいつもひとまずぶっとばしておいた。
私は仕方なく近くにあった食い物屋に入る。店の中は昼時なのにパラパラと人がいるだけだった。なんだ、ここまずいのかな。他の店探すのもめんどくさいから引き返す気はないけど。
空いているカウンターに腰を下ろすと、厳ついガタイのハゲたコックが苦々しい顔でよってきた。なんだよ、そんなに私の来店が気に入らないのか。貧乳だからか。貧乳だから気に入らないのか!乳なんて所詮脂肪の塊なんだからな馬鹿め!はやく牛乳でももってこい!
「あの、お嬢ちゃん、非常に言いづらいんだが」
「ん?」
おっさんはカウンターの端に座っている少年を一瞥してから、私にこしょこしょ話の体勢をとった。が、おっさんがあまりに気持ち悪かったので頭のてっぺんを殴った。なんかちょっとベタついてたのでおっさんの服の袖でぬぐう。
「何する!」
「こっちのセリフだボケなす。言いたいことがあるなら堂々言え」
「言えねえからこうしてるんだろうが」
「しゃあないな、じゃあそこのネギとって」
まな板の上にあるネギを指さしていうと、おっさんは不思議そうにネギを持ち上げて私に寄越した。私はそのネギの先を耳に当て逆の先っぽをおっさんの口にあてた。おっさんはすごく不安そうな顔をしている。はっきり言えばきもい。
「これで譲歩してやる」
「馬鹿かオメェは!こんなんで話してたら逆に目立つわ!」
「我が儘だなぁおっさん。めんどくさいからはっきり言えよ」
ネギでおっさんの頭を叩くとおっさんはアベシ!と言って頭をおさえた。ちょ、おま、いくらお前の頭がハゲでつるぴかでもそれはないわ〜
店に笑い声が不気味に響く。周りを見れば店にはおっさんと私とカウンターの端にいた少年しかいなくなっていた。おいおい、まさか、そういうことかよ。見損なったよ、おっさん。そういうことは先に言え
カウンターの端にいた少年はどんどん歩いて来て、私の前に立った。私、この人から逃げられるだろうか。だって、この人上半身の服を脱いでいて、すでに、やる気満々ですって言ってるようなものじゃん。
「気に入ったぜ、お前」
「ちょっと、ま、まったまった」
「お?まさか今ごろ気づいたのか?」
「、勘弁してください」
「おい、そんなに怖がらなくても」
「2人のお楽しみを邪魔なんてする気なかったの!」
「は?」
店には私を抜いた2人の声がこだました。
※むむまっふぁの意味。膝枕。